
前回の庚申塔を見た後、近くの勝源寺(しょうげんじ)へ向かいました。曹洞宗 勝源寺参道です。
ここは相模原市南区磯部2111

山門をくぐり、参道右手の六地蔵です。


階段を上ったところが本堂です。

これは本堂前の聖観音像です。台座にはあとで紹介するミニチュア像が置いてあります。後ろに青面金剛像の案内板が立っています。
勝源寺の大青面金剛王(六本庚申)

お目当ての青面金剛像は本堂内にご本尊・千手観世音菩薩と共に祀られていますが非公開で拝観できません。幸い本堂前に案内板が立っていました。
勝源寺の大青面金剛王(六本庚申)
青面金剛尊(しょうめんこんごうそん)は、仏法の守護神として知られる帝釈天の使者とも言われ、病魔・災難を除く神として、また、民間に盛行した「庚申信仰」の本尊として信仰されてきました。「当山に祀られている青面金剛像は、「六本庚申」又「千体庚申」ともよばれ、養蚕に効験のある庚申様として広く信仰を集めました。現在、お像脇に納められている焼物のミニチュア像も、往時は千体あったと伝えられています。
人々は、養蚕の始まる頃に参拝し、ミニチュアの像を借りて家に祀り、養蚕が終わるとお参りし、お像を納めました。
四月の庚申の日あたりに行われたお祭りには、露店が出され、大神楽が行われるなど、近隣はもちろん遠方からも大勢の人が参拝に訪れ、賑わいました。
ここ勝坂周辺には、庚申塔が数多く建てられており、六本庚申との深い関わりがあることがうかがわれます。
(案内板より)

案内板にある青面金剛像です。
●名前の通り全身青色の像です。普段の水辺歩きで石造りの像は見慣れています。青色の像は初めて見せてもらいました。材質の案内がないのですが一般的な仏像と同じく木造と思われます。
●不動明王のように憤怒の相で火焔を背にしています。
●首飾りは髑髏でしょうか。
●持物は剣・ショケラ・鉾・宝輪・弓・矢と標準的。
●岩の上のふて腐れた表情の邪鬼は金剛に踏み付けられています。
養蚕の守り神としての青面金剛について以下、私なりに考えてみました。あくまでも個人的な感想です。
先日訪れた望地弁財天は養蚕の守護神として招かれました。水と財宝の神と伝えられる弁財天。弁財天の化身が蛇や龍、蛇は弁財天の遣いとも言われています。蚕の天敵はネズミ、その天敵はヘビや猫です。望地弁財天は頭上に宇賀神(人頭蛇身の福の神)を戴いていました。座間市の白髪弁財天はとぐろを巻いたヘビを社のシンボルとしています。弁財天を養蚕の守護神として祀るのは養蚕を知らない現代人にも分かりやすい話です。
勝源寺で弁財天ではなくきわめて珍しい青面金剛を養蚕の守護神としているのは何故だろう。ひょっとして勝源寺の青面金剛像にヘビが関わっているかも知れない・・・と愚考しました。そこで青面金剛像をじっくり観察した結果なんと10匹のヘビを見つけましたよ!(画像をクリックすると拡大します)
六本庚申とは六臂(腕が六本)の青面金剛像が由来ですが、剣とショケラをぶら下げた両手首に1匹ずつ。二の腕に1匹ずつの都合4匹。鉾・宝輪・弓・矢を持つその他の手首に1匹ずつで都合4匹。以上8匹のヘビが巻き付いています。一方足首を見ると左右に1匹ずつ。手足合計で10匹のヘビです。単なるヘビを象ったアクセサリーかもしれませんがこれが養蚕信仰に結び付いた所以かもしれないですね。それと青面金剛の衣に猫?か虎?も描かれています。これは強力な布陣です。ネズミはたじたじですね。(^σ^)

これは焼き物のミニチュア像です。
人々は、養蚕の始まる頃に参拝し、ミニチュアの像を借りて家に祀り、養蚕が終わるとお参りし、お像を納めました。往時は千体あったと伝えられています。 (案内板より)


本堂前の聖観音像の台座に置かれたミニチュア像を見つけました。高さは20cmくらい。庚申塔のミニチュア版ですね。邪鬼を踏みつけそれぞれ武器を持ち日月も表現しています。こんな像は今までに一度も見たことがないです。

おしまいに鐘楼です。大晦日に除夜の鐘を撞いたことでしょう。
今回の探訪で鮮明なカラー写真で「青面金剛は青かった~」を実感し、初めてのミニチュア庚申塔と対面し満足感たっぷりで帰路につきました。
関連過去記事
「其の371 白髪弁財天社」
勝源寺の位置です。(地理院地図より)
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