横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の428 狩野川放水路を見てきました・静岡県伊豆の国市

 昭和33年9月の狩野川台風で甚大な被害を受けた狩野川流域。その後は狩野川が氾濫する大規模水害について報じられたことはありません。昭和40年に完成した狩野川放水路の存在が大きいと思います。
10月9日(月)体育の日、晴れ、狩野川放水路がどのような治水施設なのか見たくなり現地を訪ねました。

特急踊り子修善寺行
伊豆箱根鉄道駿豆線・伊豆長岡駅に停車中のJR特急踊り子号修善寺行きです。いつもは通過を眺めるだけの特急列車に小田原駅から乗車しました。熱海駅で前10両が伊豆下田行きに、後ろ5両は三島から伊豆箱根線に入りました。初め伊豆下田行きに乗って伊豆長岡に行けるのか不安だったのですが結果オーライ、小田原駅の駅員さんの案内通り11号車に乗って正解でした。乗り換えなしで楽です。

千歳橋より狩野川下流を望む
伊豆長岡駅から西へ進むと狩野川に架かる千歳橋へ出ます。千歳橋から見た狩野川下流方向です。正面が狩野川放水路の分流(分岐)点です。狩野川は伊豆半島中部天城山系を源とし北流する一級河川です。

狩野川・狩野川放水路分流点
千歳橋を渡り狩野川左岸堤防上の道を下流へ歩きました。ここが狩野川放水路の分流点です。右が本流で北へ向かっています。これより先の田方平野で狩野川は蛇行を繰り返し大水になると水が流れにくい形状になっています。

狩野川・狩野川放水路分流点
さらに近づきました。左側は洪水の流れを分ける施設「狩野川放水路分流堰」と言います。可動堰×2門、固定堰(越流堰)から成っています。今は平常時なのでゲートは閉じています。
対岸の建物は国土交通省狩野川放水路管理所です。

県道129号線菖蒲橋
分流堰堤体上の菖蒲橋(あやめばし)です。県道129号線が走っています。

狩野川放水路分流堰
狩野川放水路分流堰
下流の菖蒲橋人道橋から見た狩野川放水路分流堰。平常時なので放水は只今ゼロです。
国交省HP「狩野川放水路」によると本川の計画洪水流量4,000㎥/秒の内半分の2,000㎥/秒を狩野川放水路へ分流するように設計されているそうです。
濁流が分流堰を越える恐ろしい光景は同HPに載っているので参照ください。

狩野川放水路分流堰・水位目盛
堤体に目盛りが刻んであります。固定堰上11~15まで。
多分1m刻みの標高表示と思われます。

狩野川放水路・墹之上開水路
菖蒲橋人道橋から見た狩野川放水路下流方向。広々とした人工河川・一級河川狩野川放水路です。前方の山を長岡隧道(トンネル)で潜ります。分流堰から長岡隧道入り口までの開水路は延長660m、名称は墹之上開水路と言います。(以下水路名、隧道名(トンネル名)、延長は国交省HPより)

狩野川分流堰下流のポール
菖蒲橋人道橋の下に直径30cm位のポールが林立しています。これは何でしょう。

狩野川分流堰下流のポール
右岸から上流を見ました。菖蒲橋の下、正面に狩野川本流が見えます。洪水になると、枝や根っこ付きの流木が分流堰を越えこちらに向かって流れてくるかもしれません。林立したポールはそれらを引っかける施設と思われます。一種のスクリーンですね。多摩川水系三沢川分水路の入り口に同じような施設がありました。長岡隧道に流木が詰まると流量が減り放水路から溢れ出る恐れがあるので、おそらくそれが狙いと思います。

国交省狩野川放水路管理所
菖蒲橋北側の国土交通省狩野川放水路管理所です。今日は体育の日、祭日で門は閉まっています。本館の隣は狩野川資料館です。見学予定でしたが残念。

狩野川放水路・墹之上開水路長岡隧道入口
墹之上開水路の西端、長岡隧道(長さ850mのトンネル)の入口です。向かって右側に道が通じています。このあと隧道出口を目指して隧道上の山越えをやりました。

前記国交省HPによると「昭和26年に狩野川放水路工事着工するも用地問題等問題多く工事は進まず、先に開水路工事から進め、昭和32年トンネル工事に着手。工事途中の昭和33年9月狩野川台風により未曾有の大水害に見舞われた。」とあり、狩野川台風のはるか以前から治水対策をやっていたことが分かります。完成は前述のように昭和40年7月です。

狩野川放水路・長岡隧道入口
隧道上部に「狩野川放水路長岡隧道」の銘板が嵌めこんであります。隧道のサイズはそれぞれ高さ11m、幅10mもあります。

伊豆テクノタウンB調整池
右側の小道に入ってすぐ左手にコンクリートの堰堤がありました。堤体に貼った銘板によると「伊豆テクノタウンB調整池」でした。

長岡隧道上の道
小道はいつしかこんな道に変わり大蛇やマムちゃんがいつ出てもおかしくないような怖ーい道をしばらく上りました。女性の一人旅はまず無理ですね。

長岡隧道上、工業団地駐車場
地図には公園とありましたが広い駐車場に出てきました。ほっと一息です。ここは工業団地の駐車場みたいです。

大堤池
工業団地内の広い道路を下ると右手に小さな溜池があり、その先の大きな池の前に出てきました。案内板があり大堤池という江戸中期につくられた溜池でした。ルアー竿を振る釣り人がいました。外来魚狙いでしょうか。

伊豆中央道長岡北IC
大堤池前のR414を西へ進みました。途中、伊豆中央道長岡北ICと交差します。ICなので歩道の有無を懸念したのですが横断地下道があり無事通過。坂道を下ります。

珍野橋より長岡隧道出口を望む
坂道を下ったところが珍野橋で狩野川放水路と再会です。珍野橋より狩野川放水路上流、長岡隧道出口を望む。

長岡隧道より狩野川放水路下流を望む
長岡隧道出口より狩野川放水路下流を望む。前方の橋は珍野橋。これより下流は延長1,055mの中央開水路です。

珍野橋より中央開水路下流を望む
珍野橋より中央開水路下流を望む。相変わらず水溜りのみではっきりとした流れはありません。右岸に樋管ゲートが見えます。

江間川樋管
近くから樋管ゲートを見ました。銘板によると「江間川樋管」と言い中央開水路に流れ込んでいます。江間川を地図で上流へたどると水田地帯を通り狩野川左岸へ至ります。狩野川放水路分流点より下流の狩野川です。そこから取水しているのでしょうか。実際に確かめたわけではありません。地図の上でのことですが???です。訳が分りません。

長塚橋より中央開水路下流を望む
珍野橋下流の橋、長塚橋から見た中央開水路下流方向です。二つ目の隧道、口野隧道入り口が見えます。

狩野川放水路・口野隧道入口
口野隧道(延長210mのトンネル)入り口です。
私はR414の口野トンネルを潜り追いかけました。

狩野川放水路・口野隧道出口
口野トンネルを抜けたら水で満たされた海でした。(^σ^)/
正確にはトンネル出口より下流延長205mは口野開水路なので狩野川放水路の一部です。ここは静岡県伊豆の国市から沼津市に入っています。

狩野川放水路・口野開水路
下流の江浦湾方向を見ました。前方の口野開水路に架かる橋はR414口野橋です。

口野橋より江浦湾を望む
口野橋より江浦湾を望む。手前の方は海に見えますがまだ狩野川放水路口野開水路です。海の中まで放水路は伸びているんですね。どうやって工事をしたのでしょう。潜函工法(ケーソン)と言うやり方があります。今年7月に見学した諏訪湖の釜口水門がこの工法でした。

昭和40年7月に狩野川放水路は完成しました。それ以降狩野川の大規模水害の発生はなく流域住民の生命財産は守られました。その効果は抜群でした。分流堰の位置選定、江浦湾へ直接放流など最適な選択でした。

直近の水辺歩きで信玄堤、石積出しなどの治水施設、「びゅうお」や狩野川放水路を見学してこのような治水事業の大切さを特に強く感じました。

そういえば、かつて「コンクリートから人へ」を掲げ「事業仕訳」(八ツ場ダムの工事中止、首都河川のスーパー堤防を認めないなど)を推進した政党がありましたがいつのまにか消滅してしまいましたね・・・。
自然災害の多い日本列島でこのようなピント外れな政策をいっとき国民は受け入れてしまったんですよね・・・。危ない危ない。そのまま続いていたら災害列島になるところでした。

狩野川放水路分流堰の位置です。
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コメント

頼もしいやつ

狩野川放水路関係のHPを見ますと、放水路の隧道は最初2本で計画されていたようですね、それが狩野川台風をうけ、当初2本のトンネルで計画されていた水路を、3本にしたようです。
2015年9月10日に愛知県の知多半島に上陸した平成27年の台風第18号では、静岡県でも狩野川上流の天城山で400mm超の大雨を観測し、この放水路がなければ狩野川台風並みの浸水被害もあり得たほどの雨量だったそうで、放水路によって水位を約2・2メートル低下させることに成功したそうで、下流の沼津市民は放水路のおかげで命拾いをしたのかも知れません。
狩野川と信濃川は日本では共に北に向かって流れる川で流れにくいというような事を何かの文献で記憶しているのですが、そういえば信濃川では関屋分水路や御新田放水路・新樋曽山隧道など多くの放水路が作られていますが、一番の傑作は国上台地を切り開いた長さ9kmほどの大河津分水路ではないでしょうか。

  • 2017/10/19(木) 17:57:02 |
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Re: 頼もしいやつ

コメントありがとうございます。
ホント「頼もしいやつ」ですね。全く同感です。
現地を歩きよく理解できました。
直近に見学した甲府盆地の戦国時代からの治水事業、
沼津港の「びゅうお」や陸閘などの治水施設を見ても
ご先祖様は昔から凄いことをやってきたなあ~とあらためて感心します。
ブログタイトルと離れた話題ばかりですが興味があるのでこれからも
このような施設を取り上げていく予定です。

  • 2017/10/19(木) 18:44:29 |
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千畳敷

口野口は当時から今昔マップでも確認出来るように江の浦湾の中では一番奥まった入江になっており、最短で海へ水路を繋ぐために巧く地形を利用したのかも知れません。口野の先には千畳敷という平たい岩場があり、当時小学校の遠足は片道7kmほどの道のりを歩いて来ました。ここで昼食の後はイソギンチャクに指を突っ込んでみたり、ウミウシを踏みつけて紫色になる潮だまりで遊んだり、例の尻高を探したりと友達とワイワイやったものでしたが十数年前、三津浜方面に行った際、探してみたのですがどうやら埋め立てられておりました。

  • 2017/10/19(木) 20:42:07 |
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Re: 千畳敷

珍しいお話しありがとうございます。「最短で海へ水路を繋ぐために巧く地形を・・・」はお説の通りだと思います。海へ直接放流は最適な方法と思います。津波以外溢れる心配がないですからね。今昔マップ開いてみました。地域設定を関東編にし検索窓に沼津駅と入力したら開きました。蛇松線もばっちり見られ戦前はまだ現沼津港の形がないことが分かりました。

  • 2017/10/19(木) 21:22:10 |
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ドンピシャの水辺歩き

静岡県東部には2市2町を潤す江戸前期に作られた長大な用水路が有ります。スタート地点は神奈川県ですが、この偉業のため長年、静岡VS神奈川県の水争いの元となっていた有名な用水路です。当時、深良村の名主・大庭源之丞(実際には江戸の商人達らしいが)達が4年の歳月をかけて作り上げたものだそうです。まだ未探訪でしたら管理人の趣旨にドンピシャの、この水辺歩きを計画してみて下さい。(今回はミステリーツアー並みに探訪先を伏せました。文中のヒントで行先を見つけてネ。)

  • 2017/10/20(金) 10:06:35 |
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Re: ドンピシャの水辺歩き

連日のコメント&情報ありがとうございます。
ちょうど10年前箱根森林浴ウォーク2007に参加し芦ノ湖一周に挑戦したことがあり、そのとき用水路の取水口の前を通りました。無事完歩し「合鑑」の鑑札をもらいました。その後水道みち歩きをするようになったので用水路のことは探訪先として良く承知しています。いつか歩こうと前から思っていました。歩くだけならだれでもできますが一味違った探訪記を書こうと機を窺っているところです。気長に期待してくださいネ。

  • 2017/10/20(金) 11:23:56 |
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ピンポーン!

正解です。この用水関係のHPを見ると、なんと隧道を湖水側から反対側に抜ける見学会もあるようですね。多分、通水の終わった今頃から来春にかけての時期に募集したのでしょうか?ここは一つ管理人のプライドにかけてニ味も三味も違った探訪記の御披露を待っております。また時間がありましたら、黄瀬川の裾野駅上流1.3kほどの所にある「五竜の滝」も見学してきてください。(ここも小学生の頃、SLに乗って遠足に来た場所です。)

  • 2017/10/20(金) 17:16:29 |
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Re: ピンポーン!

連続のコメント&新しい情報ありがとうございます。
それほど奇抜なことを考えているわけではありません。
おざなり探訪記ではなく私なりに一味加えたいだけです。
まずは岩波駅までの探訪、次いで私が最も知りたいのは田んぼへ
用水を送る様子です。田んぼを見ながらの用水路歩きになると思います。
黄瀬川は狩野川支流の中で最も大きい川で溶岩がごろごろした川という
印象を持っています。「五竜の滝」はどのような滝か楽しみです。
余力があれば足を延ばしたいと思います。

  • 2017/10/20(金) 20:45:36 |
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再びピンポーン

おめでとうございます!再びピンポーンです。裾野の「五竜の滝」は新富士火山三島溶岩流の末端に形成された滝だそうで、玄武溶岩流の断面が観察できる大変貴重な学術資料だそうですので、これも水辺歩きの一種としてじっくりと観察してきてください。用水路歩きの方はかなり長い距離の探訪になりそうですが、頑張って下さい。

  • 2017/10/21(土) 17:23:25 |
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Re: 再びピンポーン

再度のコメントありがとうございます。探訪時の参考にさせていただきます。頑張ります。

  • 2017/10/21(土) 21:52:23 |
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トロッコ

このところ雨続きで水辺歩きが出来なく、イライラしているのではないのでしょうか?ところでこの放水路を開削した際の残土は何処へ運ばれたのでしょう?当時中学生だった頃、チャリンコで工事中の放水路を見に来た時は、ちょうど立山砂防工事で使われているようなトロッコ列車の線路が放水路底や放水路脇を走っており、中には江間川に沿った奥の方に延びておりましたので、江間集落や墹之上(ままのうえ)集落などの水田地帯のかさ上げに使用したのではないのでしょうか。また当時ブルドーザーやパワーシャベルなどの土木機械はまだ「油圧」というものが無かった時代だったのでしょうか排土板やショベルやアームの部分はすべてワイヤーロープで上げ下げしたり、トロッコ列車が行き返りしている様などを芥川龍之介の「トロッコ」よろしくぼんやりと眺めておりました。

  • 2017/10/29(日) 11:51:59 |
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Re: トロッコ

狩野川放水路にまつわるコメントありがとうございます。伊勢湾台風の前年に狩野川台風災害がありました。およそ60年前の出来事です。月日の経つのは早く光陰矢のごとしを実感します。龍之介のトロッコは少年時代の回顧録ですよね。あの体験は良平の人格形成に影響が与えたと思います。自分の子供の頃を思い出すとすごく共感します。探究心が旺盛なんですよね。私は恥ずかしながら今でも小年期そのまんまです。

  • 2017/10/29(日) 14:00:22 |
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