「誤って水路に落ちた人がつかまるためにロープを流している。ロープは末端に水球を付け沈まないように、またつかまりやすいようにコブを付けてある。」
なるほどね・・・。この話を聞くまで浮遊ゴミを引っかける装置と思っていました。この一言で腑に落ちました。武蔵水路は至るところフェンスで囲われているので一般人が水路に転落はあり得ず、水路管理者である水資源機構の作業者が対象と思われます。
「謎のロープと水球」の設置理由が分かったので画像を見ながら振り返ってみます。

赤見台放流口ゲート下流のロープ。8本のロープを流しています。確かにコブがあります。

国道17号伏越下流のロープ。水球にゴミが付着しています。

武蔵水路は「2連コンクリート開水路」です。ここは中央の厚さ25cmの隔壁板が切り欠いてあります。管理用の橋が架けてあります。

こちらは隔壁板を取り付けた水路。隔壁板は着脱式です。なお隔壁板とは私が勝手に呼んでいるだけで正式名は分りません。
隔壁板の着脱はクレーンで行うと思いますが、微細な位置調整は管理橋で作業者が行うと思います。管理橋に手すりはないので万が一の転落事故があり得ます。2連コンクリート護岸は垂直でつかまるところがありません。このようなところの下流にロープを流していたような気がします。
素人目線でこのような危険と思われるところを取り上げました。武蔵水路には制水ゲート、河川からの放流口ゲートや水門、水位測定器など様々な施設があります。これらの施設の点検時に転落の危険性があり、その下流側にロープが設置されていたかも知れません。
事業者や専門家(プロ)は万が一を想定して設計施工をするんですね・・・。甲府盆地に天井川・坪川と低地河川・五明川の立体交差があるのですが「其の213」、その時も専門家による万が一を感じました。素人には想像もつかない天井川の川底が抜けた時を想定した配慮でした。
読者様には有益な情報を提供いただきありがとうございました。お蔭さまですっきりしました。
おしまいに珍しい武蔵水路のダムカードの紹介です。えっ、水路なのにダムカード? 利根大堰との2枚セットです。
利根大堰を見学したら忘れないでもらってください。利根導水総合事業所で配布しています。

武蔵水路のダムカードです。右上に「FWI浄化用水」と書いてあります。普通はアルファベットのみですが「浄化用水」と日本語で書いてあるところが珍しく面白いと思います。アルファベットはダムの役割(目的)を表しています(目的記号)。
FはFlood Control 洪水調節
武蔵水路の内水排除機能を指していると思います。
WはWater Supply 水道用水
IはIndustrial Water 工業用水

利根大堰のダムカードです。右上に「AWI」と書いてあります。
AはAgricultural Water 農業用水
WとIは水道用水と工業用水です。右下MBは可動堰の意。
(水資源機構広報誌「水とともに」No.143より)
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