横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の356 秋ヶ瀬取水堰を訪ねる・埼玉県志木市

 前回「其の355」で武蔵水路の始点終点間探訪を終えたので、その先の都市用水(上水道用水・工業用水)の取水、隅田川浄化用水注水の様子を見たくなりました。

武蔵水路の役割は
(1) 東京都・埼玉県向け都市用水の導水
(2) 隅田川の水質改善浄化用水の導水
(3) 武蔵水路周辺の内水排除
の三つでした。このうちの(1)(2)が今日のひとり見学の対象です。

1月4日(水)晴れ、武蔵水路の終点、荒川左岸糠田樋管から約30km下流の取水施設、秋ヶ瀬取水堰及び周辺を探訪しました。

秋ヶ瀬取水堰
今日はJR武蔵野線北朝霞駅からの歩きです。荒川を堰き止める秋ヶ瀬取水堰です。右岸から幅10mの調節ゲート、幅34mの洪水吐ゲート3門。魚道は左岸にありここからは見えません。

秋ヶ瀬取水堰・調節ゲート、洪水吐ゲート
右岸側幅10mの調節ゲートは取水口に近いのでいわゆる土砂吐ゲートですね。昨年昭和用水頭首工を見学したので、水に隠れている部分は同様な仕組みになっていると想像がつきます。

秋ヶ瀬取水堰
横から見た秋ヶ瀬取水堰。堤体に「秋ヶ瀬取水堰 昭和40年3月 水資源開発公団」(水資源開発公団は水資源機構の前身)の銘板が埋め込んであります。国土交通大臣から東京都への水利使用標識も掲げてあります。
左端対岸に埼玉県の大久保浄水場(上水道・工業用水)向け取水樋管ゲートが見えます。

朝霞水路・宗岡取水口
取水堰上流右岸の宗岡取水口です。

宗岡取水口銘板
宗岡取水口堤体の銘板です。
「朝霞水路改築事業 宗岡取水口 昭和55年5月 水資源開発公団」

秋ヶ瀬取水堰と宗岡取水口
上流から見た秋ヶ瀬取水堰と宗岡取水口。

大久保浄水場取水樋管ゲート
左岸の埼玉県・大久保浄水場(上水道・工業用水)向け取水樋管ゲート。

参考までに武蔵水路の都市用水と浄化用水の導水量内訳です。
東京都水道用水 30.274㎥/秒
東京都工業用水 0.980㎥/秒
埼玉県水道用水 2.700㎥/秒
埼玉県工業用水 1.100㎥/秒
都市用水合計 35.054㎥/秒
隅田川浄化用水 8.146㎥/秒
「生まれ変わる武蔵水路(武蔵水路改築事業)」より


朝霞水路・宗岡樋管
宗岡取水口から見た荒川右岸の宗岡樋管。道路下を取水口から宗岡樋管、水資源機構・沈砂池、東京都浄水場へ向かう導水路・朝霞水路が通っています。

宗岡樋管は銘板に
宗岡樋管主門扉
1979年10月関東地方建設局
管理者:水資源開発公団
門扉:幅4.74m高さ4.57m 2門
型式:ローラーゲート

宗岡樋管・副門扉
こちらは堤防内側の宗岡樋管副門扉です。

朝霞水路(地下導水路)
宗岡樋管副門扉南の朝霞水路。地下導水路です。水路サイズは高さ4.5m×幅4.5m×2連鉄筋コンクリート製。
なお副水路が別ルートでもう一本あり現在耐震化工事中でした。既設コンクリート管(高さ5.0m×幅3.3m×2連)の中に立坑からΦ3.0mの鋼管を挿入する工事でパイプ・イン・パイプ工法と言うそうです。現地に絵入説明板があり勉強になりました。

朝霞水路
下宗岡2丁目付近の朝霞水路(地下導水路)。

朝霞水路・宮戸樋管
道なりに進んで新河岸川に架かる新宮戸橋のたもとまで来ました。
左側に水門がありゲートは開の状態です。その先は新河岸川に合流しています。ただし全く流れはありません。

朝霞水路・宮戸樋管銘板
上記水門の銘板です。「朝霞水路 宮戸樋管 昭和39年12月 水資源開発公団」とあります。追っかけてきた朝霞水路が新河岸川に合流・・・すなわち今日のテーマの一つ隅田川浄化用水の放流(注水)口ですね。新河岸川は下流で隅田川に呼称が変わります。

朝霞水路・宮戸樋管
新宮戸橋を渡り右岸から見ると分かりやすいです。宮戸樋管は新河岸川左岸堤防に設けた施設です。宮戸樋管の左奥の建物が水資源機構・朝霞浄化用水機場です。

朝霞浄化用水機場
朝霞浄化用水機場です。銘板に昭和47年11月とありかなり古い施設です。水資源機構の「利根導水路概要書」によると(P)とあるので朝霞水路から分水した浄化用水は自然流下でなくポンプで新河岸川に放流(注水)しています。なぜポンプか?勾配が理由かもしれませんが、浄化用水なので空気(酸素)も合せて送り込んでいるような気がします。昔、神田鎌倉河岸で大きな鯉が大量に浮いたのを目撃したことがあります。酸欠のためと思います。また目に見えない微生物にとっても酸素は欠かせないと思います。平瀬川浄化施設仙川浄化施設は礫間接触酸化方式という好気性微生物の働きで河川水を浄化していました。

朝霞浄化用水機場
朝霞浄化用水機場南側の池です。右側に逆流防止弁があるのでここから噴出した浄化用水は左奥の出口から地下水路経由宮戸樋管へ流れて行くと思われます。現状、池の水は淀んでいます。
「利根導水路概要書」によると緊急かつ暫定的に利根川の余剰水を取水して隅田川の河川浄化を行います。とあり、年中注水しているわけではない。ということが分かりました。
東京都内を流れる新河岸川、隅田川は東京都が管理する一級河川です。緊急かつ暫定的隅田川河川浄化は東京都の要請に基づいて行うのでしょうか?

朝霞水路・沈砂池
さて、地図を見るとよく分かりますが新河岸川左岸に大きな池が二つあります。水資源機構・朝霞水路の沈砂池です。これは新河岸川左岸堤防から見た東側の沈砂池です。ゲート開閉器が林立しています。目の前のゲートは銘板に「新河岸川横断一号サイホン」とあり、西隣の沈砂池も同様にサイホンで新河岸川を潜っています。
奥に朝霞浄化用水機場の建屋が見えます。朝霞水路は沈砂池直前で二つの池と朝霞浄化用水機場向け3か所に分水していることになります。

新宮土橋より新河岸川上流を望む
新宮戸橋より新河岸川上流を望む。この川底を左岸から右岸へ一号、二号のサイホン管が横断しています。

新河岸川右岸・水資源機構第一接合井
新河岸川を右岸へ渡りました。右岸堤防から見た施設。銘板によると「流量計室 平成11年10月 水資源開発公団」とあります。「利根導水路概要書」には一号接合井とありここまでが水資源機構の施設です。
右側の建物は東京都水道局のポンプ場で前方の台地上にある朝霞浄水場、板橋区の三園浄水場へ導水するための施設です。

水資源機構・朝霞水路
上記の逆方向、南側台地上からの展望です。ここからの方が位置関係はよく分かります。真正面新河岸川対岸に沈砂池、朝霞浄化用水機場の建屋、新宮戸橋のたもとの宮戸樋管も見えます。

朝霞浄水場へ向かう地下導水路
台地上を東京都水道局朝霞浄水場へ向かう地下導水路。突き当りの建物は朝霞浄水場の施設です。

朝霞浄水場
突き当りを左折した朝霞浄水場北側外周道です。分りづらいですが円筒形の大きな水槽があり、ごぼごぼと吹き上がる流水音が聞こえてきました。多分この水槽が着水井と思われます。利根大堰で取り入れた都市用水のうちの東京都向け上水道水の終点です。工業用水は板橋区の三園浄水場へ向かっています。

東京都水道局朝霞浄水場
南側の東京都水道局朝霞浄水場正門です。朝霞浄水場は処理能力が日量170万立方メートルの水道局最大の浄水場です。建物窓に「おかげさまで通水50周年」と大書してあります。利根大堰、秋ヶ瀬取水堰とほぼ同じ時期(東京砂漠と言われた頃)に着工完成しています。みんな同期の桜なんですよね・・・。
JR武蔵野線北朝霞駅はすぐ近くです。

秋ヶ瀬取水堰の位置です。


 [追記] (2017/02/14)

国土交通省「取配水樋管」
この写真及び3枚目の写真の説明で「左岸の埼玉県・大久保浄水場(上水道・工業用水)向け取水樋管ゲート。」と記述しましたが、間違っていたので訂正します。
何の疑いもなく左岸取水なので埼玉県向け都市用水と思い込み、このように記述しました。国土交通省荒川上流河川事務所に照会した結果、正しくは「取配水樋管」ということが分かりました。

「取配水樋管」は国土交通省が管理する荒川貯水池(彩湖)の施設の一部です。荒川貯水池(彩湖)は秋ヶ瀬取水堰の下流、荒川左岸にあり、洪水調節のほか東京都や埼玉県の都市用水を安定的に利用できるよう荒川の水を貯める役割も持っています。
荒川を流れる水量が少ない場合には彩湖に貯めた水を貯水池機場から地中に埋設した管路を通し取配水樋管から秋ヶ瀬取水堰の上流に流し、逆に荒川を流れる水量に余剰があるときは取配水樋管から取水し彩湖に流して貯めます。ひとつの樋管で水の流れが二通り(取水・配水)あるわけです。こんな機能を持つ樋管を見たのは初めてです。色々と勉強になります。(^σ^)

彩湖については興味があり、いずれ他の施設を含めて全体を見学するつもりです。その時にあらためて取り上げたいと思います。

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