横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の269 相模川の水が東京へ・東京分水の話

 相模川の水が水道水となり日々東京へ届けられていることを知っている人はそれほど多くないと思います。私が東京分水を知ったのは横浜水道みちを歩き始めたころで4年位前のことです。水道みちを歩かなければ知ることもなかったと思います。

東京分水ってなんだろう?相模川の水が東京分水に至った経緯、水の流れなどを調べ、現地を歩き確かめたので発表いたします。1月15日(金)晴れの日に探訪しました。

まず東京分水について。
神奈川県が相模川河水統制事業により昭和23年に相模ダムを完成させました。相模ダムは多目的ダム(上水、工水、発電、灌漑用水)で上水・工水の水利権は神奈川県営水道、横浜水道、川崎水道が取得しました。水利権使用水量は出資額によると思いますが、その中で「東京分水」が出てきます。
相模川河水統制事業による水道事業者別水利権使用水量は以下の通りです。単位は㎥/秒、(上水)は上水道水、(工水)は工業用水。
神奈川県営水道1.39
横浜水道(上水)4.55(工水)1.00
川崎水道(上水)4.40(東京分水2.66㎥/秒を含む)
(工水)1.15
(神奈川県企業庁「城山ダム」パンフより)

これだけでは分水地点、東京都の浄水場、どの地区へ配水しているかなど詳細が分かりません。以下、調べたことを発表いたします。

川崎市上下水道局長沢浄水場
川崎市多摩区にある川崎市上下水道局長沢浄水場です。川崎市の中核浄水場です。名前はよく承知しているのですが初めての対面です。相模ダム(相模湖)で開発された上記の原水はこの浄水場着水井に到着します。原水は水源地から津久井導水路・相模隧道・川崎第1導水隧道により自然流下で送られています。

原水の送水経路について参考記事
「其の207柿生発電所と川崎第1導水隧道」 (2015/3投稿)

東京都水道局長沢浄水場
こちらは東側に隣接の東京都水道局長沢浄水場です。調べてわかったのですがまさか川崎市内に東京都の浄水場があるとはびっくりです。東京分水2.66㎥/秒は川崎市の長沢浄水場から道一本隔てた隣の東京都長沢浄水場へ分水しています。

川崎市の浄水場の隣に浄水場を新設してまで必要とした水道水。東京都水道局のお家の事情がありました。日本中どこの都市でもいえることでしたが、特に首都東京では切実だったようです。

東京都は戦後復興による水道需要の急増に対処するため、国を仲介して神奈川県の河水統制事業による川崎市への割り当て水量の一部を分譲するよう要望し、昭和30年に締結した協定(神奈川県・川崎市・東京都の三者による協定)に基づき、昭和34年に分水が開始されました。同年長沢浄水場は完成しています。

かつて東京は「東京砂漠」と言われるくらい水不足に陥っていました。そのピークは昭和39年の東京オリンピックの頃と言われています。振り返れば相模川の水が東京オリンピック開催に役立っていたんですね~~。
それにしても神奈川県と川崎市は大英断をしたものです。せっかく獲得した水利権使用水量の6割(2.66/4.40)を分譲したわけですから。なお、三者協定は毎年協議が行われ1年ごとに更新しています。

上記のように、東京都は水利権を取得しておらず、あくまで分譲扱いです。それも有償です。相模川から原水を引くのにコスト(イニシャル・ランニング)がかかっているので当然と言えば当然ですね。ポンプを使わない自然流下導水なので比較的廉価と想像します。私は神奈川県の5大水道事業者(横浜市・横須賀市・川崎市・神奈川県営・企業団)の中で川崎水道が一番低コストの水道原水を得ていると思っています。

参考までに東京都水道局の施設能力です。 (平成26年4月現在)
給水区域は特別区23区と多摩地区24市町、給水人口約1100万人、施設能力日量696万㎥と、世界でも有数の大規模水道。
長沢浄水場の処理能力は日量20万㎥で東京都全体に占める割合は2.9%。 
(東京都水道局HPより抜粋)

川崎市長沢浄水場付近
川崎市長沢浄水場正門前から見た東南方向の景色です。小田急線向ヶ丘遊園駅から歩きましたが津久井道から浄水場通りに入り坂道を上りきった丘の上に位置しています。浄水場は給水圧を得るためでしょうか、どこも高台に立地しています。川崎市長沢浄水場の標高は地理院地図で測ると着水井付近で標高83.4mです。


東京都水道局長沢浄水場外周道をひと回りしました。以下は表から見た長沢浄水場の様子です。

東京都水道局長沢浄水場
東側の浄水場通りから見た長沢浄水場。
「ここから届ける東京水」と書いてあります。

東京都水道局長沢浄水場
東南の隅に塔が立っています。水道水を作る最終工程、急速ろ過池のろ過砂が目詰まりした時に使用する逆洗用水を貯めておく高架水槽です。

東京都水道局長沢浄水場
南側から見た長沢浄水場。急速ろ過池が東西に並んでいます。芝生広場地下は配水池と思います。

東京都水道局長沢浄水場
出来上がった水道水を給水所へ送る送水管のカットモデルが展示してあります。後で分かりますが口径1600mmの鋼管です。

東京都水道局長沢浄水場
西側外周道から見た中の様子です。正面水色のゲート操作台があるのが着水井・急速混和池で左側がフロック形成池です。この付近の標高は78mです。

東京都水道局長沢浄水場
北側の裏門です。イメージキャラ水滴君と「くらしを支える東京水」と書かれています。相模川の原水が東京水に生まれ変わりました。

東京都水道局新川橋水管橋
出来上がった水は長沢浄水場から多摩川を越え東京都へ送水されます。送水管路上の地上施設を探訪しました。
これは浄水場通りから津久井道(県道3号線)に出て多摩警察付近で見た二ケ領用水(新川)を渡る大口径の水管橋です。銘板によると東京都水道局・新川橋水管橋と言い、口径は1600mm、竣工は平成23年6月です。
この辺りの標高は23mです。浄水場との差は55mもあり余裕をもって自然流下で送水していると思います。

多摩水道橋
津久井道を東進して多摩川に架かる多摩水道橋のたもとに着きました。小田急線の車窓から見えるこの橋の名前が多摩水道橋と初めて知りました。

多摩水道橋
右岸上流から見た多摩水道橋。水道管が見えません。

多摩水道橋に敷設の長沢浄水場系送水管
橋の下から見上げると橋桁に水道管が敷設してありました。
先ほど見た新川橋水管橋と同じ水道管です。

多摩水道橋に敷設の長沢浄水場系送水管
別角度からもう一枚。

多摩水道橋より多摩川上流を望む
多摩水道橋より多摩川上流を望む。真っ青な空を映した雄大な流れです。

多摩水道橋・都県境案内板
橋中央の都県境案内板。左は神奈川県川崎市多摩区、右は東京都狛江市。

これより先、多摩川を渡った長沢浄水場系送水管は多摩川左岸を世田谷区の砧浄水場、砧下浄水所へ向かっています。二つの浄水場から世田谷区、目黒区、大田区それぞれの一部地域へ給水されています。
結局、相模ダム(相模湖)の水が相模原市、町田市、川崎市を経て多摩川を渡り多摩川左岸の東京都へ水道水として給水されていることになります。

今日の探訪はここで終え、近くの小田急線和泉多摩川駅へ向かいました。多摩水道橋から先の砧浄水場、砧下浄水所はいつかまた探訪したいと思います。 
(追記)「其の270」で探訪しました。


東京都水道局長沢浄水場の位置です。

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コメント

こんにちは。

このアーチ橋になって大分経ちましたが、その前は橋の下の水管が橋の下のトラスの中を通っているのが外からでも見えていましたね。

  • 2016/01/21(木) 09:09:54 |
  • URL |
  • kanageohis1964 #-
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは。

早速コメントありがとうございます。私も小田急線から毎日眺めていたはずですが全く記憶がありません。関心のない者には在る物も見えないということですね。惜しいことをしました。小田急線より下流の左岸堤防が台風で決壊したのは今でも覚えています。

  • 2016/01/21(木) 16:38:32 |
  • URL |
  • doushigawa #-
  • [ 編集 ]

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