横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の236 引地川の若宮堰を訪ねる

 引地川の農業用水取水堰は2年前に藤沢市のゴム堰・石川堰とそこから始まる用水路を探訪したことがあります。今回はそれより上流の大和市福田の若宮堰を訪ねました。
今回も小田急江ノ島線高座渋谷駅からの歩きです。東へ歩くと前回訪ねた境川の上高倉堰へ出ますが、逆に西へ向かい坂を下ると引地川に出ます。8月27日(木)晴れの日に探訪しました。

引地川の若宮堰
ほどなく若宮堰に到着しました。これが若宮堰の全景です。
河川水を川底から取水する「河川表流水取水工法」で施工してあります。河川水を堰き止める河川横断構造物がない一風変わった取水施設です。今まで鋼製起伏堰や転倒堰、スライドゲート、ゴム堰などを見てきましたが、こんな堰を見るのは初めてです。

河川水を2条の流れに分け角落しでほんの少しだけ水位を上げています。水中のコンクリート製円形部2か所(河川表流水取水弁)の側壁から取水しています。これなら魚は堰に阻まれることなく自由に移動ができるので魚道は不要です。

引地川・若宮堰断面図
これは下流側から見た若宮堰断面図です。(大和市設置の現地説明パネルより)
取水した用水は川底に築造されたφ1500集水井からφ400流入管を通って引地川左岸のポンプ場内密閉受水槽に送られます。

引地川・若宮堰ポンプ場
引地川左岸のポンプ場です。密閉受水槽内に設置の水中ポンプで揚水し左右岸の用水路に送水しています。

若宮堰の概要
灌漑面積・・・6.5ha
取水量・・・・0.22㎥/秒
水利権者及び施設管理者・・・大和市
統括管理者・・若宮堰用水路組合 
昔の「堰上げ方式」から現在の方式へ。平成14年8月完成。

(大和市設置の説明パネルより)

引地川・若宮堰用水路
ポンプ場脇の道路に敷設された用水路。用水は左側のポンプ場から眼前の桝へ入ります。桝から東の方へ向かう暗渠用水路。

引地川・若宮堰用水路
住宅の間を南東へ向かう若宮堰用水路。水路にはフタがしてあります。昔は開渠水路だったと思います。
この先の若宮堰用水路は若宮橋付近のバス通りへ出たところまでで、その先は見失いました。大和市設置の説明パネルによると左右岸用水路に送水とあるので、まず引地川左岸堤防に沿って下流の田んぼまで歩くことにしました。

若宮橋より引地川上流を望む
これは若宮橋から見た上流の景色です。150mほど上流に若宮堰があります。目の前に水管橋があります。水管橋といえば上水道を連想しますが、私はもしかして若宮堰用水路が右岸へ渡るための水管橋ではないかと睨んでいます。大胆な想像ですが・・・。

引地川・若宮橋下流
若宮橋下流の引地川。右岸にも用水を送っているということなので、引地川を渡る水路橋や伏越施設の所在に注意しながら歩きました。

引地川・長後堰用水路
東海道新幹線の下を潜り大和市立下福田中前を通り大山橋を過ぎたところでようやく田んぼを発見。引地川を背に東へ向かう用水路です。
残念ながらこれは若宮堰用水路ではなく、大山橋下流左岸一帯の田んぼへ用水を配っている長後堰からの用水路でした。
若宮堰からここまでの探索(約1.5km)で左岸側には若宮堰用水路や対象となる田んぼがないこと、水路橋や伏越で右岸へ渡る施設もないことが分かりました。

引地川右岸大山橋付近の田んぼ
大山橋へ戻り右岸へ渡って見つけた田んぼです。

引地川右岸大山橋付近の田んぼ
北東の隅から上記の田んぼへ向かう用水路。若宮堰から来ている水路かも知れません。水量がポンプ場脇の桝で見た水量と見合っています。

引地川・若宮堰用水路
上記のすぐ上流側です。暗渠水路が北東方向、下福田中グランドの方から来ています。上流へたどりました。

若宮堰用水路
これは東海道新幹線を潜る若宮堰用水路です。地理院地図を見ると新幹線南側に田んぼ記号が表示してあります。今は畑ですが昔は田んぼがあったようです。いま若宮堰用水路と思われる水路を上流へたどっていますが、新幹線を潜った暗渠水路は西側の丘の裾に沿って北の方へ続いています。この先は暗渠水路上に蔓性の夏草が繁茂し歩行不可。地図上でたどると若宮橋の方から来ています。若宮橋上流の水管橋が右岸へ渡る用水路かも知れないと推測した理由のひとつです。左岸沿いを歩いて水路橋や伏越施設がなかったこともその理由です。真相はどうなのでしょうか。まだ確認が取れていないので判明次第追記で発表することにします。

ここのところ7月から8月初めにかけての猛暑日から一転して梅雨に逆戻りしたような天気が続いています。晴れたら次回も引地川を探訪する予定です。

若宮堰の位置です。




[追記]
今回の探訪で一番気掛かりだった若宮堰用水路がどの位置で右岸に渡るかについて、明らかになりましたので発表いたします。百聞は一見にしかず。本日撮影した以下の写真をご覧ください。
引地川若宮堰・水管橋
引地川右岸より対岸を望む。左側の若宮堰と対岸のポンプ場です。ポンプ場から水管橋でこちらへ渡っているのが右岸の田んぼへ向かう若宮堰用水路です。
若宮橋上流の水管橋より一回り細い水管橋で、測ったら外径250mmでした。本文で大胆な推測をしましたが(水管橋に着眼したまでは良かったのですが)結果は大外れでした(汗)。
水利権者及び施設管理者である大和市農政課へ照会した結果です。

次いで二番目に気掛かりな下流の大山橋右岸の田んぼの水はどこから来たかについてです。これについても照会しましたがこちらは私の推測通りでした。

引地川右岸大山橋下流の田んぼと若宮堰用水路
これは大山橋下流の長後堰管理橋から見た大山橋と右岸の田んぼです。引地川右岸堤防と田んぼの間を流れるのが本文で発表した若宮堰用水路です。水管橋で右岸へ渡った用水路の流末です。ここは大和市から藤沢市へ入っています。

引地川右岸に放流される若宮堰用水
これは長後堰管理橋下流、右岸から引地川に放流される若宮堰用水路の余水排水です。引地川で取水され引地川へ戻っていく農業用水の標準的パターンです。

おしまいにこんなことも確認しましたので参考に記します。
かつては東海道新幹線以南の引地川両岸(大和市内)に、若宮堰で取水して耕作する水田がありましたが、現在はすべてが畑に転用されています。大和市内には若宮堰用水を利用して耕作している田んぼはないそうです。
これについては私が実際に歩いて見聞し感じた通りでした。
(2015/09/03追記)

[追記2回目]
平成27年10月3日に再訪しました。「其の245」で発表しましたが、河川表流水取水弁がコンクリート製ではなく金属製と分かりました。同内容を追記で発表します。

引地川の若宮堰
「其の236」で探訪した若宮堰です。「河川表流水取水工法」という珍しい川底取水の農業用水取水堰です。
田んぼへ用水を送る期間が終わり、今は取水を止めています。角落し板が外され水位が下がり、円形の「河川表流水取水弁」が水中から姿を現しています。

若宮堰・河川表流水取水弁
「河川表流水取水弁」のアップです。周りに表流水を取り込む無数の穴があります。水中にあるときはコンクリート製に見えたのですが改めて見ると金属製です。
(2015/10/11追記)
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コメント

こんにちは。

完成当時は非常に画期的と思われた堰なのですが、川底に取水口があると上流からの堆積物への対応が結構大変な様で、却って耕作地の負担になってしまったかなという気もします。結局当該地の水田も大半が水田を潰してしまいました。

  • 2015/09/02(水) 09:31:56 |
  • URL |
  • kanageohis1964 #-
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは。

いつもコメントありがとうございます。私は大雨の時に細かい土砂が流入し密閉受水槽に溜まるのでその処理が大変かと想像していました。丸い取水弁に上流からのゴミが引っかかったりするかもしれないですね。現地案内パネルに堰上げ式に比べゲートがないので開閉設備の故障がない、魚道が要らないなどの特徴が書いてありましたが、そんな悩みがあったんですね。いずれにしても、めったに見られない珍しい堰なので探訪して良かったと思っています。

  • 2015/09/02(水) 16:40:24 |
  • URL |
  • doushigawa #-
  • [ 編集 ]

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