企業団相模取水施設のメイン相模大堰です。
相模川河口から12km上流に位置し、相模川を堰き止め、左岸取水口から621,000㎥/日の原水を取水しています。
堰の延長は495m。平成10年7月供用開始。
ビオトープ見学を終え、今日の見学ポイントの一つ魚道の見学に向かいました。これは相模川左岸堤防下の川表ゲートです。堤防の向こう側に川裏ゲートがあります。取水口の次にある施設で、取水渠の途中にあります。相模川が洪水の時は当然締め切られます。
管理橋から見た取水口です。こういった写真は今日しか撮れません。取水口は幅4.5m×4門です。
取水量は相模川堤防上の水利使用標識に記載してあります。
毎秒7.190㎥とありました。621,000㎥/日です。横須賀水道有馬浄水場の取水口も兼ねているので合わせて毎秒8.106㎥、日量約700,000㎥になります。凄いですね~。
これは4月に訪ねた時に撮った写真です。取水口を上流側から見たところです。ゴミ除けブイの左が取水口です。手前の取水口はこれから見学する魚道関連施設の呼び水水路の取入れ口です。勢い良く流れ込んでいます。
取水口付近から見た魚道。左が副魚道、右が主魚道。
これは下流側から見た魚道です。管理橋から撮りました。
外周が副魚道、中央の二本が主魚道です。どちらもコの字型で折り返しています。
普段は入れないフェンスが開放されています。中へ入り階段(写真の赤丸)を下り地下にある魚道観察窓へ向かいました。
写真右側の矢印が副魚道、写真左側の矢印が主魚道の観察窓がある位置です。
魚道の下流側です。相模大堰管理橋から撮影。
左端が副魚道、その右側と右端が主魚道。主魚道に挟まれたデルタ形が呼び水の出口です。呼び水が一番勢いがあるように見えます。取水口から地下の水路を通ってここで噴き出しています。呼び水水路の役割は、アユは川岸に沿って流れに向かって遡上する習性があることから、呼び水水路から水を流すことでアユを魚道に誘う働きをしているそうです。
副魚道観察窓です。水族館のように分厚いアクリル製の板が窓にはめ込んであります。流れが緩やかで小魚が数匹遊んでいました。魚は左から右へ遡上します。
こちらは主魚道観察窓です。アユの遡上の様子を見ました。水量が多く勢いがあり迫力満点です。右から左へ遡上します。
魚道の説明パネルがありましたので以下に記します。
相模大堰は、学識経験者の指導・助言に基づき魚が遡上や降河がしやすい新しいタイプの魚道を両岸に設置しています。相模川の代表的魚類の一つであるアユを対象とした主魚道とヨシノボリのような底生魚や遊泳力の小さな魚類を対象とした副魚道を設置すると共に、遡上魚を誘導するための呼び水水路を併設しています。
水道企業団は、相模大堰が地域に開かれた社会学習の場になるように考え、魚道に魚類の遡上と降河の状況が見られるように観察施設を設置しました。
神奈川県内広域水道企業団・社家取水管理事務所
相模大堰管理橋左岸側入口です。普段はここから先は立ち入り禁止です。今日は特別に対岸の厚木まで渡ることが出来ます。延長498mあります。橋脚の下流側に空きスペースがあります。道路橋を計画中とのことです。
相模大堰管理橋より相模川左岸を望む。道幅は3.5m。
上を横切るのはさがみ縦貫道です。
この管理橋通路下に導水管が添架されています。↓
伊勢原系導水管Φ1650です。相模大堰で取水した原水は社家ポンプ場からこの導水管で相模川を渡り伊勢原へ送られます。
伊勢原浄水場地下の伊勢原接合井から酒匂川系導水トンネルに合流しています。そして相模川水路橋で再び相模川を渡り相模原ポンプ場、相模原浄水場、川崎の西長沢浄水場へ流れて行きます。くだくだと細かいことを書きました。以上の知識があると下の話↓は即理解が出来ます。
これは企業団の「やまなみ五湖のブレンド水」です。
ビオトープ前の休憩所で係りの人が来場者に配っていました。冷やしてあったのでありがたく頂戴しました。
初めて見る飲み物です。それもそのはず、企業団のイベント用グッズで非売品のようです。帰宅して虫眼鏡で細かい文字を読むと採水地は何と私の地元、企業団相模原浄水場です。つい先だって訪ねたばかりです。
やまなみ五湖とは神奈川県北西部の人造湖で
1.相模湖(相模川本川) 2.津久井湖(相模川本川)3.奥相模湖(相模川支流の道志川) 4.宮ヶ瀬湖(相模川支流の中津川) 5.丹沢湖(酒匂川系)のことを指します。
5.の丹沢湖以外は相模大堰の上流にあります。
なるほどな~。これでブレンド水の意味が理解できました。といってもその成分の9割強は酒匂川系ですね。この伝でいけば伊勢原浄水場、西長沢浄水場で採水しても「やまなみ五湖のブレンド水」になります。
相模大堰管理橋中央部です。ガラス張りの建物はゲート操作室です。全部で8室ありあります。内1室は今日は特別開放され中を見学することが出来ました。巨大なワイヤーリール、モーター等の操作施設が左右に1基ずつ鎮座していました。
ゲート操作室の中です。今日見学するまでは「ゲート操作室」という名前すら知らなかったのですが勉強になりました。
左岸側の調整ゲートです。右岸側にも1門ありました。
洪水吐ゲート。堰中央部に4門あります。右端にワイヤーが見えます。
相模大堰・右岸魚道です。こちらは呼び水水路が中央を通っていて目視できます。左端が副魚道。
同下流側です。中央が呼び水水路で急流です。
管理橋から見た景色です。
相模大堰管理橋より上流を望む。東名高速と海老名Jctが見えます。左隅はカワウの群れです。
相模大堰管理橋より下流を望む。中洲とその向こうに企業団相模川水管橋が見えます。中洲はコアジサシの繁殖のために人工的に土砂を積み上げ造られました。4月初めに飛来し9月には南半球へ帰るそうです。観察用の双眼鏡が用意してありましたが今日はあいにく観察できませんでした。餌獲りにでも出かけたのでしょうか。
相模大堰管理橋より相模川左岸を望む。
社家取水管理事務所の建物が見えます。
帰りに受付へアンケートを記入し提出。企業団の詳しいパンフレットや記念品をいただきました。その内の一つ水源通行手形です。「山梨県道志村水源林間伐材謹製」。裏面に詳細は横浜市水道局HPでご案内中とあります。
前回及び今回の探訪記参考資料です。
・「かながわの広域水道」パンフ 神奈川県内広域水道企業団
・「社家取水管理事務所」パンフ 同上
・「社家ビオトープ」パンフ 同上
・「みずきフェスタ」当日案内書 同上
社家取水管理事務所の地図です。
大きな地図で見る
- 関連記事
-
- 其の122 秦野サイフォン・下口接合井を訪ねる
- 其の121 飯泉取水堰を訪ねる
- 其の96 相模取水施設を訪ねる・相模大堰編
- 其の95 相模取水施設を訪ねる・ビオトープ編
- 其の93 淵野辺接合井を訪ねる
スポンサーサイト