
七つ目の円筒分水工です。これまでで一番大きなサイズです。
取水ゲートは「大出7号」。ここは長野県上伊那郡箕輪町です。
位置は35.930565,137.971623です。

その先で見た水路幅一杯のゴミを引っかけるスクリーンです。
ワイヤーで水面より上に引き揚げてあるので機能していません。スクリーン設置は下流に何かの施設があるということです。

その下流左岸にゲートが見えます。

西天竜幹線水路はここで行き止まりです。ここは深沢川を伏越(ふせこし・サイフォン)で渡る「深沢サイフォン」呑口施設です。付近の案内板によると西天竜幹線水路の中で最も深い高低差20mの谷を渡ります。

呑口から上流を見ました。用水が渦を巻いて地下に吸い込まれています。水路左岸の護岸が一段低くなっています。溢れた余水は越流堰から深沢川へ放流されます。ゲートは操作盤に「土砂吐ゲート機側操作盤」とあり、深沢川への排水用と思います。地図を見ると広い河川敷内に排水路が描かれています。


深沢川が作った谷を渡る水路橋と案内板です。深沢サイフォン呑口から300m位上流へ遡ったところにあります。標高を保つため上流へ迂回したんですね。
昭和3年11月完成。延長145m、幅3.03mの水路橋。
現在は昭和16年完成の深沢サイフォンに取って代わられ道路として利用されています。

水路橋より深沢川下流を望む。一面棚田です。深沢川は右側森沿いを流れています。前方低位置を中央道が横切っています。深沢サイフォンは中央道手前、田んぼの下を潜り抜けています。

水路橋を渡り深沢川右岸のサイフォン吐口にやってきました。何もないところに忽然と大量の水が出現・・・。なんとも不思議な光景です。渦を巻いていますが吹き上がる水音はありません。
地理院地図で呑口と吐口の標高を調べると746.0m・745.8mでした。わずか20cmの落差です。
地図で計測すると呑口からの延長は309mでした。

吐口から下流を見ました。水路右岸側に取水ゲートがあり右側の田んぼへ用水を送っています。これまで見たのは全て左岸側でした。これは珍しい例外ですね。

フェンスの注意看板。上伊那郡西天竜土地改良区と南信発電管理事務所の連名です。西天竜幹線水路末端の西天竜発電所は長野県南信発電管理事務所が管理しています。

サイフォン吐口下流で左カーブしトンネルへ入って行きます。

水路橋の入口でした。中央道を渡る「西天竜水路橋」です。


中央道を渡る西天竜水路橋と銘板です。

南側の橋から見た西天竜水路橋遠景。中央道は何回も走っていますが水路橋が横断しているとは知らなかったです・・・。
中央道(伊北IC~駒ヶ根IC間)の開通は昭和51年。それ以前から西天竜幹線水路は用水を送り続けていました。あるとき突然水路下に堀のような高速道路が通じることになりました。どのように付替え工事をしたのでしょうか。工事期間や施工手順など気になりますね。
水辺歩きをすると似たような(堀のような深い道又は水路や川が後から作られた)話はいっぱいあります。思いつくまま記します。
●横須賀水道半原系統は新設の東名高速を渡る水管橋に。
●相模原畑かん用水路は新設の東名高速を渡る水路橋に。
水路橋に付け替えるも畑かん事業終了に伴い水路橋は撤去されました。
●神奈川県営水道北相送水管中津支管が新設のR129を渡る伏越に付け替え。
●新設の武蔵水路を伏越で横断する農業用水路(多数あり)。
●大丸用水路と新設の鶴川街道(県道19号線)は水路橋に。
●二ヶ領用水路と新平瀬川の伏越立体交差。こちらは平瀬川の治水と久地円筒分水の組み合わせで伏越になりました。

中央道を渡った西天竜幹線水路。左岸に取水ゲートがあります。

近づくとこのようになっています。ゲート名は「8号甲」。

桝の中を覗くと・・・。なんと2方向へ分水しています。西天竜幹線水路は円筒分水工ばかりと思い込んでいたのがこんな分水工もあるんですね。思わぬ儲けものの発見でした。サイフォン管で下から吹き上がっているか否かは判断がつきません。

同所付近から見た東側の田園風景。
今回は見どころが多く余り進めなかったのですがここまでです。次回に続きます。
今回のスタート「大出7号」の位置です。
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