横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の227 鶴見川のゴム堰と恩廻公園調節池を訪ねる

 今年5月11日、寺家ふるさと村の農業用水路を探訪した時に寺家川河口付近の鶴見川でゴム堰を見つけました。しかしゴム堰は萎んだままの倒伏状態で、堰としての機能は発揮していませんでした。

谷本川元堰ファブリダム
これがその時に撮ったゴム堰です。向かって右側、左岸に取水口があり農業用水の取水堰と推測しました。地理院地図で確認すると確かにここより下流の鶴見川左岸一帯に田んぼの記号が複数あります。

田植えが終わったころを見計らって6月20日(土)晴れの日に再探訪しました。起伏したゴム堰を見学するのが目的ですが、残念ながら全く変化はなくこのままの状態でした。どうやら廃止になったゴム堰のようです。ここは鶴見川に架かる河内橋上流で、左岸は川崎市麻生区早野、右岸は横浜市青葉区寺家町です。

谷本川元堰ファブリダム銘板
左岸堤防上の操作室に掲げてあった銘板を見つけました。
このゴム堰は「谷本川元堰ファブリダム」と言います。
谷本川元堰ファブリダム
規模:高さ1.5m×河床幅11.5m
型式:空気膨張式
設置年月:昭和62年3月
施主:神奈川県横浜治水事務所
製作;富山建設工業(株) 住友電気工業(株)


空気膨張式であることが分かりました。鶴見川はこの辺りでは谷本川と呼ばれています。操作室敷地内奥に石造りの記念碑が二基立っていましたが碑文は判読できず。

寺家川河口樋門
起立したゴム堰を見て探訪を終えるつもりでしたが、計画が狂いました。バスで東急田園都市線青葉台駅へ向かうのを止め、鶴見川沿いに上流の小田急線鶴川駅まで歩くことにしました。
これはゴム堰上流の寺家川河口樋門です。鶴見川が洪水時に寺家川へ逆流を防ぐための水門です。

鶴見川に真福寺川が合流
その上流で真福寺川が合流。左側は神奈川県が管理する一級河川鶴見川。右側は川崎市が管理する準用河川真福寺川。

真福寺川河口付近流路工
合流点の橋上から見た真福寺川上流。流路工で固めてあります。

恩廻橋付近の鶴見川
その上流恩廻橋付近では親水公園風になっています。踏み石伝いに対岸へ渡れます。

一級河川鶴見川の標識
「一級河川鶴見川 神奈川県」の標識。麻生川が合流する麻生橋付近。

恩廻公園調節池
麻生橋から鶴見川上流を望む。右岸開口部から何やら合流しています。これは後から分かったことですが、緑山スタジオ方面からの下水処理水の放流口で、後述の恩廻公園調節池に貯まった水をポンプ排水する放流口でもあります。
右岸堤防には階段があり親水公園風です。巨大な除塵機も見えます。犬も歩けば棒に当たるで私好みの施設に遭遇です。この施設は恩廻公園調節池(おんまわしこうえんちょうせつち)と言い神奈川県が作った施設です。施設をぐるっとひと回りしてきました。

恩廻公園調節池
反対側に回り込むと中は広場(取水庭)になっています。右岸堤防は内外ともに階段になっていて、左岸堤防、右岸上下流堤防に比べ一段低くなっています。これぞまさしく越流堤です。鶴見川が洪水になると越流堤を越えた水により広場(取水庭)は池になります。
右端の建物は恩廻公園調節池管理棟。中には恩廻公園調節池の構造や鶴見川周辺の自然を紹介している展示室があります。

恩廻公園調節池・越流堤
越流堤天端から鶴見川下流・麻生橋を望む。

恩廻公園調節池・除塵機
越流堤から見た巨大な除塵機(ごみ除けスクリーン)。除塵機を通過した越流水は管理棟下の流入立坑から本坑(恩廻公園調節池)へ流れ込みます。
本坑(恩廻公園調節池)は河川改修前の鶴見川旧河道(現在の恩廻公園)の地下にあり巨大地下トンネル構造になっています。

恩廻公園調節池・Aトンネル
これが巨大トンネル(Aトンネル)です。サイズの小さいBトンネルと合わせ延長約600mあります。貯水容量は約11万立方メートル。水深1mの25mプール330杯分に相当。(管理棟展示室で頂いた恩廻公園調節池パンフレット写真より)

恩廻公園調節池・断面図クリック拡大
同じくトンネル断面図の比較です。日本でも最大級の大きさです。
左から新幹線トンネル、帷子川分水路トンネル、東京湾横断トンネル、恩廻公園調節池トンネル。
(恩廻公園調節池パンフレットより)
今日は通りがかりなので流入立坑や本坑見学はできません。10人以上の団体なら見学可能との話でした。

恩廻公園
旧鶴見川河道を利用した恩廻公園です。この地下に巨大地下トンネル・恩廻公園調節池があります。

河川管理境界標識
麻生橋上流の河川管理境界標識です。この辺りは東京都と神奈川県の境界が入り組んでいます。ここより下流が神奈川県、上流は東京都管理。鶴川駅までに標識を4か所も見ました。

鶴見川・子の神橋上流
子の神橋上流の鶴見川。緩い落差がついています。

鶴見川・開戸親水広場
真光寺川合流地点の開戸親水広場の風景です。

鶴見川・岡上橋下流
その上流岡上橋付近から見た鶴見川。河川改修後とはいえ真っ直ぐではなく緩やかな曲線を描いて流れています。

鶴見川・河川維持管理区分界標識
今日見た4枚目の河川維持管理区分界標識。ここより下流が神奈川県、上流は東京都管理。ここは鶴川駅の南です。

DSCF5530_convert_20150623141846.jpg
付近で見つけた細長い空き地です。鶴見川の旧河道でしょうか?

今日は思いがけず恩廻公園調節池に出遭い、日本でも最大級の巨大地下トンネル式調節池の存在を初めて知り勉強になりました。越流堤を越えて恩廻公園調節池に流れ込んだことは平成20年8月に実際にあったそうです。水害から地域を守るためにこの施設が作られた(平成15年度完成)わけですがたびたびあっては困ります。貯まった水は鶴見川の水が引いた後ポンプで鶴見川に戻すそうです。
機会を設け流入立坑、巨大地下トンネルを見学したいと思います。

谷本川元堰ファブリダムの位置です。
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其の226 走水水源地を訪ねる

 「よこすか京急沿線ウォーク」で走水水源地が特別公開されると聞き行ってきました。開催日は6月6日(土)晴れの日でその名も「ヴェルニー水道ウォーク」といいます。京急汐入駅近くのヴェルニー公園をスタートし、どぶ板通り、赤門、春日神社、走水水源地経由ゴール地点は観音崎京急ホテルまで約9.5kmで行われました。

走水水源地(はしりみずすいげんち)はこんなところです。当日頂いた横須賀市上下水道局のパンフからそのあらましを抜粋引用します。
明治9年(1876年)、横須賀造船所の所長であったフランス人技師のヴェルニーが土管を布設し、自然流下により造船所に通水したのが走水水源地の始まりです。ヴェルニーは江戸幕府により建設された横須賀製鉄所(のちの造船所)の用水を確保するため、水源を探していたところ、明治6年(1873年)、製鉄所から約7km離れた走水に湧水を見つけました。
その後、走水水源地は軍港水道となり、大正8年(1919年)、市に貸与され、昭和29年(1954年)、正式に無償譲渡されました。
走水水源地は、関東大震災の時でも涸れることなく、いまなお、1日1,000立方メートルの良質な地下水を湧出しています。また、市内唯一の水源地であるため、災害時には、応急給水の拠点となります。 
(横須賀市上下水道局のパンフより) 
なお横須賀製鉄所(造船所)は慶応元年(1865年)に鍬入れ式(起工式)が行われ今年11月15日に150周年を迎えます。横須賀製鉄所(造船所)のドライドックは150年を経た現在も米海軍横須賀基地の中で現役として稼働、艦船の修理に使われています。(横須賀市上下水道局当日配布資料より要旨)

どぶ板通り
ヴェルニー公園内横須賀上下水道局汐入ポンプ場前で受付をすませ参加者は随時スタート。有名などぶ板通りを通りました。明治時代、通りの真ん中に溝があり、板で溝をふさいでいたのでこの名がついたそうです。DOBUITA STREETの案内板があります。

永嶋家長屋門(赤門)
江戸時代に名主を務めた永嶋家の長屋門(通称赤門)前を通過。横須賀風物百選選定。

走水水源地
春日神社に参拝し堀ノ内駅、京急大津駅、馬堀海岸駅前を通過し東京湾走水海岸沿いに出てきました。これはR16から見た走水水源地です。右手の山と海の間が走水水源地です。

ヴェルニーの水案内板
上記付近の「横須賀水道発祥の水 ヴェルニーの水」の案内板。

走水水源地管理センター
R16沿い海側の横須賀市上下水道局「走水水源地管理センターに到着しました。特別公開なので門が開いています。R16を挟んで山側にも走水水源地の施設があります。

「横須賀水道発祥の地」記念碑
入場してまず目についたのが立派な記念碑です。
「横須賀水道発祥の地 市営水道創設80周年記念 昭和63年12月25日建立」

横須賀最古の水道管(陶管)
横須賀最古の水道管が展示してありました。
これは明治9年12月横須賀造船所~走水間の約7kmにわたって布設された口径5インチ(12.5cm)の水道管です。愛知県常滑産の陶管。
当時は約7kmの区間を電力もポンプもない自然流下で送水していました。高低差はわずかに10m足らずで落差を保つためトンネルが掘り抜かれたそうです。明治初めの測量技術、施工能力は凄いですね。驚きです。

走水水源地・膜ろ過装置
膜ろ過装置です。集めた湧水を膜ろ過装置に通し次亜塩素酸ソーダを注入し、水道水の出来上がりです。元々湧水の水質が良好で、昔は塩素消毒のみで給水していたそうです。これから先は場内の走水浄水池と「ヴェルニーの水」へ送られます。
処理水の量は公称1,000㎥/日。湧水量は季節により変動があるそうです。

走水浄水地
走水浄水池です。わが国の鉄筋コンクリート技術の黎明期に建設された施設です。容量は1,470立方メートル、明治41年(1908年)完成。(国登録有形文化財)
ここから先は送水ポンプで防大配水池、鴨居配水池へ送られます。

走水浄水地銘板
走水浄水池の壁にはめ込まれた銘板です。「横須賀軍港水道 浄水池 明治四拾壹年九月竣工」とあり、文字は鮮明で歴史の重みを感じさせます。

走水水源地駐車場・ヴェルニーの水
走水水源地駐車場わきの無料の水飲み場「ヴェルニーの水」。ペットボトルやポリタンクを手に順番待ちするほどの人だかりで人気でした。

走水水源地・貯水池
R16沿い山側に設置の走水水源地レンガ造り貯水池です。明治35年(1902年)完成。容量は142立方メートル、内部天井はアーチ型の「ヴォ-ルト屋根」が特徴。(国登録有形文化財)
R16山裾沿いに貯水池を中心に東へ250m、西へ96mにわたってレンガ造りのかまぼこ型の集水埋渠が設置してあり、この貯水池に湧水が集まるようになっています。ここから膜ろ過装置へ流れて行きます。

アクアンの消火栓マンホールフタ
本日の探訪記念は横須賀水道イメージキャラ「アクアンの消火栓マンホールフタ」です。ヴェルニー水道ウォークの道すがら何枚も見かけました。

今回の探訪記の参考資料です。

横須賀市上下水道局パンフ「走水水源地」、当日配布資料、説明パネル及び横須賀市上下水道局 「横須賀水道100年史」

走水水源地の位置です。




其の225 足柄平野の武永田用水を歩く

 6月2日(火)晴れ、足柄平野を流れる武永田用水(ぶえだようすい)を訪ねました。道中「あじさいの里」を通り紫陽花をいっぱい見てきました。

酒匂川左岸幹線用水路・足柄上郡開成町
小田急線新松田駅下車、十文字橋を渡り酒匂川右岸沿いに上流へ歩きます。これは酒匂川左岸幹線用水路です。この下流で酒匂川をサイフォンで左岸に渡ります。

文命用水・新遠藤島橋
これは高台病院付近の新遠藤島橋から見た文命用水です。右岸に取水門が二つ並んでいます。手前が今日歩く武永田用水、隣は酒匂川左岸幹線用水路の取水門です。ここは神奈川県足柄上郡開成町金井島です。文命用水左岸は南足柄市斑目。

酒匂川左岸幹線用水路・武永田用水
二つの水門を背に下流を望む。左側が酒匂川左岸幹線用水路、右側は武永田用水の流れです。水利権水量はそれぞれ6.23㎥/秒、2.21㎥/秒です。

文命用水小水力発電所
ここは内山発電所放水路から始まる文命用水の流末です。これは二つの取水門下流の神奈川県が作った小水力発電所です。右側水門下流側に発電機が設置されています。手前に水路監視カメラが見えます。発電所概要は「文命用水小水力発電所の概要」を参照ください。

文命用水・酒匂川放流口
小水力発電所の下流で酒匂川に放流されています。文命用水の終点です。

武永田用水・高台病院東
こちらは高台病院東で酒匂川左岸幹線用水路と別れ南流する武永田用水です。以下武永田用水を下流へたどります。

武永田用水・高台親水公園付近
高台親水公園付近を流れる武永田用水。

武永田用水・高台親水公園下流
高台親水公園下流付近の武永田用水。水路沿いに柵を設け散策路として整備してあります。右岸側田んぼの田植えは終わっています。

武永田用水・山王供養水辺公園
その下流、山王供養水辺公園で二方向に分水しています。

武永田用水・山王供養水辺公園
転倒堰で堰上げをしています。グレー色施設は転倒堰の開閉器。

武永田用水・山王供養水辺公園
水車小屋です。水車は修理中でした。

武永田用水・山王供養水辺公園内完成記念碑
山王供養水辺公園内の神奈川県が建立した「完成記念碑」です。
県営圃場整備事業酒匂川右岸地区事業概要
関係市町:開成町、南足柄市
事業量:94.3ha
事業期間:平成3年度から平成13年度
受益戸数:409戸  
県営圃場整備事業:土地の区画整理、農道の整備、用排水路の分離など営農にかかわるすべての条件の改善。 

(碑文・説明パネルより抜粋)

アジサイの里
その先「あじさいの里」に入ってきました。広大な田んぼ周りの農道に紫陽花が五千株ほど植栽してあります。

武永田用水・あじさいの里
「あじさいの里」を流れる武永田用水。

武永田用水・小水力発電
あじさい公園内の武永田用水路に設置の小水力発電。
発電設備の概要
水車形式:開放型らせん水車
水車直径:1.0m
使用水量:最大0.3㎥/秒
最大落差:1.19m
発電電力:最大2200W  
(説明パネルより抜粋) 
神奈川県企業庁の市町村再生可能エネルギー導入支援事業を活用して整備。発電した電気は公園内の電灯に、余った電気は電力会社へ売電する仕組みになっています。

武永田水辺公園
下流の武永田水辺公園でまた分水しています。

あじさいまつりアーチ
開成町あじさいまつりのアーチ。私は北から「あじさいの里」へはいりましたがアーチのある南側が入り口です。

要定川・松の木河原橋
アーチの下流、松の木河原橋から見た要定川(ようさだがわ)。武永田用水はあじさい公園の下流で要定川に名前が変わります。地図で下流へたどると小田原市で狩川に合流し最後は酒匂川に合流しています。

瀬戸屋敷・薬医門
この後近くの「瀬戸屋敷」を訪ねました。江戸時代にこの辺り金井島村の名主を代々つとめた瀬戸家の住宅で、屋敷の広さは1800坪もあります。これは表門(薬医門)です。

瀬戸屋敷・主屋
茅葺寄棟作りの主屋。

瀬戸屋敷・土蔵と水路
土蔵裏を流れる水路。沢ガニやホタルが見られるそうです。屋敷四周に水路が巡らされ表門脇には水車小屋まであります。

なるべく人さまがあまり行かないところ、取り上げないところへ行くのがdoushigawa流ですが、今日の用水路歩きはいつもと違って観光名所巡り的になってしまいました。

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「其の106 足柄平野の文命用水を歩く」 (2013/9投稿)
「其の107 酒匂左岸用水を歩く」 (2013/9投稿)


武永田用水取水門の位置です。


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