横浜水道みちを行く

横浜水道みちの事なら何でも知りたがり屋の管理人がその水源を目指して探索探訪をします。時には独りよがりな感想意見を述べます。

其の224 酒匂堰のゴム堰の堰上げを見学しました

 用水路や川辺歩きをすると稀にゴム引布製起伏堰(ゴム堰)に出くわします。今までに出遭ったのは藤沢市を流れる引地川の石川堰、箱根の東京電力山崎発電所取水堰、酒匂堰など合計わずかに八つです。都度拙ブログで取り上げ投稿しました。そんな珍しいゴム堰の堰上げ(ゴム堰を膨らませ河川水を堰き止める作業)の様子を見学しました。年に一回しかそのチャンスはないのでゴム堰に出遭うよりもっと貴重です。もちろん私にとっては初めての体験です。
5月24日(日)晴れ、喜び勇んで行ってきました。そういえば前にもこんな気持ちになったことがありました。2年前に小沢頭首工(こさわとうしゅこう)を初めて見学した時と同じ高揚感です。

酒匂堰の川久保堰
さて、これは昨年5月末に酒匂堰(酒匂川左岸幹線用水路の一部区間の名前。川を堰き止める堰ではなく用水路の名前です)を歩いた時に山王橋下流で見つけたゴム引布製起伏堰(ラバーダム、ファブリダムとも言う)です。このゴム堰の名前は川久保堰と言います。今日は珍しい川久保堰の堰上げの様子を見学しました。ここは神奈川県小田原市下大井です。

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これは今朝9時頃の川久保堰です。土地改良区の組合役員さんが取水門にグリスアップをしています。
ゴム堰内の水は昨秋に排水され倒伏状態です。約7か月間この状態だったわけです。ぺしゃんこのゴム堰も見たかったのでちょうど良かったです。土地改良区の職員さんの話ではゴム堰の耐用年数は40年だそうです。見学者は私一人でしたが途中近所の人が2、3人見に来ました。過去小学生の団体見学もあったそうです。
酒匂堰には終点の万石橋まで五つのゴム製布引起伏堰(ゴム堰)があり川久保堰は最も上流に位置しています。五つとも水式ゴム堰でゴムの袋の中に水を注入するタイプです。ちなみに藤沢市を流れる引地川の石川堰は空気式です。

酒匂堰の川久保堰
水式ゴム堰の仕組みを理解するため学んだことを記します。
これは今朝の右岸の様子です。水色のゴミ除けカバーが見えます。カバーの内側にゴミ除け格子・スクリーンがあり田んぼへ行く用水路の取水口です。
ゴム堰と取水口の間の護岸に白線表示があります。下線が「堰天端」、上の線は「倒伏水位」です。洪水などで貯水高さが倒伏水位に達すると自動的にゴム堰内から排水され倒伏するようになっています。

酒匂堰の川久保堰・水式ゴム堰
左岸の様子です。こちら側にも田んぼへ行く用水路の取水口があります。左右両岸取水です。川久保堰は酒匂堰の取水堰の中で最も広い面積をカバーしているそうです。
用水路取水口の左斜め下の開口はゴム堰に注入する水の取り入れ口です。
白いゴム堰上流側の小さな穴(黄色矢印)は操作室内の水位計とゴム堰自動排水装置につながっています。
下流側の小さな穴(赤色矢印)はゴム堰内の排水口です。洪水時の自動排水やシーズンを終えるときにここから排水し倒伏させます。
正面ブロック造りの建物は操作室で川久保堰をコントロールします。

酒匂堰の川久保堰・操作室
操作室です。地上部は高さ3m位ですが中は地下室があり深さは酒匂堰の川底と同じくらいです。建物の左側は給水槽で取り入れ口から入った水はここに貯まり流入した砂を沈殿させます。ポンプにつながるL字型の配管が立ちあがっています。ポンプで吸い上げゴム堰内に注入されます。

酒匂堰の川久保堰・操作室
操作室の中の様子です。モーターとポンプに複雑な配管が入り組んでいます。地下を覗くと自動排水装置の分銅型の重りがぶら下がっていました。倒伏水位に達すると分銅型が落下し排水弁が開きゴム堰内の水が排水されるそうです。壁には「ファブリダム操作要領」の掲示あり。

酒匂堰の川久保堰
ポンプの呼び水給水を終え9時半頃ポンプ運転開始。
(AM9:56)大分膨らんできました。

酒匂堰の川久保堰・水式ゴム引布製起伏堰
(AM10:07)ゴム堰からの越流が止まりました。下流側にモズクガニが這い出てきました。

酒匂堰の川久保堰・水式ゴム引布製起伏堰
(AM10:14)水位が上がりゴム堰天端から越流が始まりました。右岸の白い堰天端線までもう少しです。この後の様子は一年前に撮った一枚目の写真になります。

探訪を終えて
水道みち・用水路好事家の管理人、4月のある日、酒匂川左岸幹線用水路を管理する酒匂川左岸土地改良区へゴム堰の堰上げ日時照会をしたことがきっかけで本日の見学会が実現しました。土地改良区職員さん直々の解説付きの贅沢な見学会になり、ゴム堰の知識が格段に深まりました。大変お世話になりありがとうございました。別途、私がまだ知らない用水路の紹介をいただきましたので紫陽花が咲くころに探訪したいと思います。

川久保堰の位置です。



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其の223 仙台下用水路と烏山用水の花菖蒲

 今回は季節の話題です。今までの用水路歩きで見つけた花菖蒲が見られる用水路をぐるりとひと回りしてきました。5月26日(火)晴れの日に探訪しました。

愛川町しょうぶの里
初めにやって来たのは仙台下頭首工から始まる用水路を歩いた時に見つけた愛川町の「しょうぶの里」です。愛川町中津下谷の町中を流れる仙台下用水路です。水路の中約350mにわたって花菖蒲が植えてあります。中津川に架かる八菅橋から歩いてすぐのところです。八菅橋河原に駐車できます。

愛川町しょうぶの里
時期がまだ早かったせいか一斉ではなく所どころかたまって咲いています。

愛川町しょうぶの里
「かながわのまちなみ100選 しょうぶの里 愛川町」の看板。

愛川町しょうぶの里
花弁の付け根が黄色は花菖蒲です。白色なら杜若(かきつばた)、網目模様なら菖蒲(あやめ)です。

愛川町しょうぶの里
少し上流の「しょうぶの里」仙台下用水路。花菖蒲はつぼみが多くこれからが楽しみです。

愛川町しょうぶの里
花菖蒲をアップで撮りました。

烏山用水の花菖蒲
続いてやって来たのが水郷田名の烏山用水です。用水路沿いの花菖蒲。つぼみが目立ちます。こちらの花菖蒲は100m足らずの短い区間です。ここは相模原市中央区水郷田名2丁目です。

烏山用水の花菖蒲
白色の花菖蒲。花弁の付け根は黄色です。

烏山用水の花菖蒲
3種類の花菖蒲。

烏山用水の碑
せっかくなので少し上流へ歩きました。これは烏山用水の碑です。

小沢頭首工
帰りは相模川左岸堤防に上がり小沢頭首工(こさわとうしゅこう)の凄まじい水音を聞きながら高田橋下流河原の駐車場へ向かいました。4門の洪水吐け転倒ゲート、魚道、取水門、操作室が見えます。

愛川町しょうぶの里の位置です。

其の222 磯部頭首工と相模川伏越を訪ねる

 3年ぶりに磯部頭首工を訪ねました。3年前の模様は「其の19 磯部頭首工を訪ねる」で発表しました。同じところを探訪したので重なるところがありますが、今回の探訪記は当時気付かなかった点を補足して取り上げたいと思います。5月14日(木)晴れの日に探訪しました。

三段の滝広場より相模川を望む
今回もJR相模線下溝駅から歩きました。駅近くの三段の滝展望広場より神奈川県の母なる川・相模川を望む。上流の昭和橋やアーチ型の企業団相模川水路橋が見えます。

鳩川分水路
相模原市が整備したさがみ川散策路を下流へ歩きます。これは新三段の滝橋から見た鳩川分水路・新三段の滝です。

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さがみ川散策路沿いのヘラブナの釣り堀。釣り堀南側の本流は磯部堰により湖のようになっています。そこでは鯉釣りのリール竿が並んでいました。釣果は? 2尺くらいの大物が網に入っていました。

磯部頭首工
磯部頭首工に到着。左岸寄りのスライドゲート2門が目立ちます。コンクリートの橋脚は流木などの大型ごみ流入防止のためと思われます。遠くに大山が見えます。

磯部頭首工・磯部取水門
その左奥の磯部取水門。全10門あり左側6門が相模川左岸幹線用水路、右側4門が相模川右岸幹線用水路(西部用水)の取水門です。
磯部取水門
型式 ステンレス鋼製スライドゲート
経径間×呑口高 1.5m×1.6m
設置数 10門
開閉方式 電動ラック式
竣工年月 平成12年3月
製作 ㈱栗本鐵工所  
(銘板より)

「磯部堰成り相模野潤う」の碑
10連の取水門上に記念碑が立っています。
「磯部堰成り相模野潤う」の碑 神奈川県知事 津田文吾書。
碑の裏側に磯部堰の沿革が刻まれています。前回未発表なので記します。

磯部堰の沿革
明治の初め以来旧5箇村と新田の用水取り入れ口であった磯部に昭和10年県営相模川左岸用排水改良事業によって堰が築造され毎秒6.85立方メートルの農業用水が相模原市から茅ヶ崎市に至る左岸2000ヘクタール余の耕地を潤してきた。 しかし同19年相模川河水統制事業による相模ダムが上流に建設されて土砂の流下が減少し、また戦後急激な砂利類の採掘により河床が低下して以来災害対策と取水とに悩まされた。さらに同32年には県営相模川右岸農業水利改良事業によって毎秒5立方メートルが取水され厚木市から平塚市に至る右岸2000ヘクタール余の耕地をも潤した。このため災害復旧と維持管理の経費は年々増大するに至ったので同39年県営用水障害対策事業が農林省に採択され5箇年の歳月と39800万円の巨費をもって今年3月改修工事が完成したのである。かくてこの堰の取水は末永く相模野の沃田を潤すことであろう。
昭和44年5月       相模川磯辺堰土地改良区連合

(碑文より)

磯部頭首工・磯部堰
左岸から見た磯部頭首工磯部堰。手前からスライドゲート2門、魚道、転倒堰3門、魚道、その奥は対岸まで固定堰になっています。どこの頭首工も取水口に最も近い水門は土砂吐です。この決まりに従うとスライドゲート2門は土砂吐と思われます。

磯部頭首工・磯部堰
転倒堰のアップ。油圧式シリンダーが見えます。手前は魚道。魚道は中が3通りに分かれています。中央が一番急流で、手前、奥の順に緩やかな流れになります。

磯部頭首工・魚道
魚道の入り口です。水流の緩急がよく分かります。企業団相模大堰の右岸側魚道の造りと良く似ています。中央は遡上する魚を誘導する呼び水水路、手前の水路は鮎などの遡上力がある魚用、奥はヨシノボリのような底生魚、遊泳力の小さい魚用と思われます。3門の転倒堰の西側にも魚道が見えますが同様な構造と思います。

磯部頭首工操作管理室
磯部頭首工操作管理室。相模川磯部堰土地改良区連合(神奈川県相模川左岸土地改良区と神奈川県相模川西部土地改良区の連合体)が管理しています。ここは相模原市南区磯部です。

磯部頭首工公園・望月珪治翁顕彰碑
磯部頭首工公園内の望月珪治翁顕彰碑
神奈川県相模川左岸土地改良区が昭和31年5月に建立。

相模川右岸幹線用水路
10連の取水門で取り入れた用水は磯部頭首工公園の地下を通り南側へ出てきます。これは南側へ出てきた相模川右岸幹線用水路(以下右岸幹線用水路)です。4門で取水し通水量は最大5㎥/秒です。

相模川左岸幹線用水路
こちらは東側を流れる相模川左岸幹線用水路の下流方向です。6門で取水し通水量は最大6.85㎥/秒です。茅ヶ崎市の室田が終点です。

相模川右岸幹線用水路
相模川左岸堤防内側を流れる右岸幹線用水路。

相模川伏越呑口施設
相模川伏越呑口施設です。奥は相模川左岸堤防で、ここで相模川を伏越で潜り相模川右岸へ渡ります。伏越呑口はその入口です。平たく言うと右岸幹線用水路と相模川の立体交差です。

相模川伏越呑口施設
上記の逆方向左岸堤防上から見た相模川伏越呑口。左側の水門は排水兼流量調整用と思われます。

相模川伏越呑口・排水施設
南側から見た相模川伏越呑口。西側(左側)にゴミ除け格子・スクリーンが見えます。シーズンオフになると水色の水門を開け下の排水路から相模川へ放流するようになっています。

相模川伏越排水樋門
相模川左岸堤防を潜る排水樋門。

相模川伏越原形の碑
相模川伏越呑口施設一角の「相模川伏越」原型の碑。これと同じものが相模川の川底に敷設されています。参考になるので碑文を記します。
相模川伏越の誌
相模川右岸に位する愛甲郡依知村 厚木町 南毛利村 中郡成瀬村 伊勢原村 太田村 相川村 神田村 大野町 城島村 岡崎村 豊田村の水田二千余町に灌漑するため相模川左岸頭首工より 取水し此処に伏越を設けて対岸に渡した。この河床は深い 砂利層で水替えが困難なので鉄筋コンクリートの井筒を連続 して沈めその中に内径一米五〇糎のヒューム管を 二本並列し玉石コンクリートで被覆した。深さは左岸側河心 の最も深い河床より二米下に埋設した。
ここに川底深く築造された伏越の原型を作りこれに概要を示す。
        記
一、工事費 壱億参千八百拾参万円
一、起工期日 昭和二十七年九月
一、完成期日 昭和二十九年九月
一、伏越の延長 六一二米
一、通水量 毎秒五立方米
一、井筒の形状 長一一米五〇 巾六米 高六米五〇
        四五基

(碑文より)

相模川伏越呑口より対岸を望む
相模川伏越呑口を背に対岸の厚木市を望む。伏越の上部が見えます(黄色の矢印の間)。

相模川伏越吐口・厚木市猿ケ島
これは厚木市の猿ケ島スポーツセンター西側の相模川伏越の吐口(出口)です。なにもないところに突然用水が吹き上がり、そこから用水路が始まります。不思議な光景です。「其の20 相模川伏越を訪ねる」(2012/6投稿)より。
右岸幹線用水路(西部用水)は厚木市、伊勢原市から平塚市すのこ橋の終点(延長20km)まで沿線の田んぼを潤しています。

相模川右岸幹線用水路(西部用水)関連記事
「其の19 磯部頭首工を訪ねる」 (2012/6投稿)
「其の20 相模川伏越を訪ねる」 (2012/6投稿)
「其の21 山際川伏越を見つけました」 (2012/6投稿)
以下終点すのこ橋までは「其の24~29」(月別アーカイブ2012/07)で発表しました。

磯部頭首工の位置です。



其の221 寺家ふるさと村の農業用水路を歩く

 寺家ふるさと村(じけふるさとむら)は昨年5月、相模原市立博物館の民俗探訪会で歩いた時に初めてその存在を知りました。都会の中の里山の風景も見どころですが、谷戸田の農業用水の水源をもっと詳しく知りたくなり一年振りに再訪しました。5月11日(月)晴れの日に探訪しました。

やじろ雨水調整池
東急田園都市線青葉台駅からバスで住宅街の中を走ること約10分、終点の鴨志田団地に到着。降りたところにダムがあります。町中にダム? 谷戸に設けたダムです。案内看板によるとこれはやじろ雨水調整池と言い、大雨の時雨水を一時貯水し下流に少しずつ流す大切な役割をしているそうです。

町中のダムを見て驚いた後、近くの寺家ふるさと村「四季の家」を訪ね寺家ふるさと村について予備知識を得ます。昆虫の標本、キツネやタヌキのはく製、ミヤコタナゴの飼育展示、谷戸田の一年、溜池の歴史などのパネル展示があり楽しみながら学べます。無料配布のパンフ「寺家ふるさと村 四季の家 ガイドマップ」を手に探訪開始です。

寺家川河口
最初にやって来たのが寺家ふるさと村を西から東に流れる寺家川の河口です。樋門を潜り南北に流れる鶴見川に注いでいます。

寺家川
寺家川はこんな川です。河口から200mほど上流の寺川橋より下流を望む。

寺家川
その上流の橋戸橋から見た寺家川上流です。深さが2m位の川と言うよりこれは用水路ですね。用水路の両側は寺家ふるさと村の水田です。寺家川はふるさと村を西から東へ流れる幹線用水路と言えます。上流の水源を目指して歩きます。

寺家川
水門を閉じ用水を溜めこんでいます。上流の桜橋、宮前橋にも同様の水門があります。

四季の家前の寺家川
四季の家前の寺家川。ここは横浜市青葉区寺家町414です。

寺家ふるさと村・山田谷戸
宮前橋付近の谷戸田。寺家ふるさと村で一番広い谷戸で山田谷戸と言います。

山田谷戸田と寺家川

寺家ふるさと村・ホタルの看板
田んぼ沿いを流れる石垣水路の寺家川と「お願い看板」。田んぼは田起しを終え水張り前の状態です。
この小川の生物を捕らないでください。貝のカワニナはホタルのエサになります。生物を大切に育てて夏には皆さんでホタルを鑑賞しましょう。寺家ふるさと村振興組合 横浜市青葉土木事務所 (看板より)

寺家ふるさと村・大池
山田谷戸の奥にある大池と取水施設。寺家川の水源です。取水施設の開口部は越流堰(余水吐け)で池の水位がこれ以上上がらないようになっています。寺家ふるさと村には五つの溜池があり、大池はその内最も大きく寺家の水がめと言われています。山田谷戸の田んぼはこの池の他に新池、むじな池の水でカバーしています。この池なら蛍の幼虫が生育できそうです。
「四季の家」の説明パネルによると元禄15年(1702年)の絵図と現在のふるさと村を比較すると基本的に田んぼも溜め池もほとんど姿を変えていないそうです。

寺家ふるさとの森
大池奥の寺家ふるさとの森。山奥を思わせるような杉。これは溜池の水源林ですね。途切れることなく鶯の澄んだ鳴き声が聞こえてきます。

寺家ふるさと村・大池の堤防
谷戸に築いた大池の堤防。元禄時代に築かれたのでしょうか。堤防の内部は粘土を突き固めた芯壁構造で堤防の漏水決壊を防いでいます。重機もない時代に人力で築いた昔の人の知恵ですね。
今日はまだ水路に通水していません。田起しがまだなのでこれからでしょうか。

寺家ふるさと村・谷戸田
谷戸の奥に溜池がない小さな谷戸田では先行して代掻きまで終わっていました。蛙がケロケロうるさく鳴いています。蛙の天敵は蛇。四季の家ガイドマップによるとふるさと村の危険な生物はヤマカガシとスズメバチとヌルデだそうです。

寺家ふるさと村・谷戸田
この谷戸田も奥に溜池がないので水張りを先行させています。素掘りのこんな水路なら蛍の繁殖に適していると思います。先ほどの石垣水路では幼虫が陸上に上がってさなぎになれるか疑問符がつきます。

寺家ふるさと村・谷戸田
水路を上流へたどると森から湧き出る湧水を取り込んでいました。この調子では水張りに時間がかかりそうです。

寺家ふるさと村・谷戸田
これは昨年5月24日、相模原市立博物館民俗探訪会で歩いた時に撮った代掻きが終わった谷戸田です。美しい段々の棚田です。

寺家ふるさと村・寺家ふるさとの森
寺家ふるさとの森を歩きました。

寺家ふるさと村・熊野池
寺家ふるさとの森を南に下りたところの熊野池と取水施設。五つある溜め池の一つでここだけ釣堀(へらぶな釣り)として利用されています。

寺家ふるさと村・熊野谷戸田
熊野池から熊野谷戸田を望む。熊野池から取水中で音を立て用水路へ流れ込んでいました。
このあと熊野神社に参拝し鴨志田団地バス停へ向かいました。

今回の探訪記念は休耕田の杜若と蛙です。
寺家ふるさと村・杜若 大池の蛙
何れが菖蒲か杜若(いずれがあやめかかきつばた)の杜若です。大池で大きな蛙に遭遇。図鑑を見るとウシガエルのようです。

寺家川河口の位置です。



其の220 愛川町の田代頭首工用水路を歩く

 八十八夜の頃、各地の農業用水路で通水が始まります。5月8日(金)晴れ、横須賀水道馬渡橋水管橋撤去工事のその後の様子を見た後、田代頭首工から始まる用水路を終点まで探訪しました。今季初めての用水路歩きです。

馬渡橋より中津川下流を望む
これは馬渡橋仮設橋から見た中津川下流の景色です。右側の流れが中津川本流で、左側は田代頭首工取水口へ向かう河道内を開削した導水路です。

田代頭首工取水口
中津川左岸の田代頭首工取水口。固定堰や可動堰はなく大きな石を積んだだけの簡単な堰です。これなら魚道も要らないです。この取水口は「其の187 愛川町田代の農業用水路を歩く」 (2014/11投稿)で登場しました。今回は当時私が気づかなかった別ルートを終点までたどります。
ここは神奈川県愛甲郡愛川町田代です。

田代頭首工取水口水門巻き上機の銘板
水門巻き上げ機に貼付けの銘板です。
「ピンシャッキ 昭和53年3月 豊国工業株式会社製」

田代頭首工用水路
堤防の内側へ出てきた用水路。トンネルを出た用水はここで田代の町中と左岸堤防沿いの2方向へ分岐しています。

田代頭首工用水路
今日は中津川左岸堤防沿いの用水路を終点の戸倉の田んぼまでたどります。流下する用水路。早速左岸へ分水しています。田代運動公園北付近。

田代頭首工用水路・田代運動公園付近
田代運動公園前の暗渠水路点検口フタ。この手前の二股交差点で中津神社方面へ行く用水路と分岐していますが、点検口の中を覗くと勢いよく用水が流れています。

田代頭首工用水路・田代運動公園付近
その先、道路側溝のような用水路。右側田んぼへ配水用の100mm塩ビパイプが見えるので用水路と分かります。

田代頭首工用水路・平山橋付近
その先、開渠水路になり流下する田代頭首工用水路。平山橋北詰付近。

田代頭首工用水路・平山大橋付近
同地点から下流を望む。前方の県道54号線平山大橋北詰を潜ります。右側石垣は中津川左岸堤防です。

田代頭首工用水路
その先、左岸側に分水門があります。

戸倉水利組合分水施設
分水門の先はここ(深さ2m位の暗渠排水路に設けた水門付きの大きな桝)へ流入しています。去年11月に来たときは水門が開いていました。今日は水門が閉じ2方向へ分水しています。
フェンスには戸倉水利組合の注意警告看板が掲げてあります。

田代頭首工用水路・戸倉支線用水路
分水を受け田んぼへ向かう支線用水路。この先左側に一枚の田んぼがありました。田んぼへ配り終えた余水と排水は暗渠排水路へ戻って行きます。その先は県道54号線沿いを流れる志田沢へ放流されると思われます。

田代頭首工用水路・戸倉の田んぼ
元の用水路に戻ります。中津川左岸堤防と戸倉の田んぼの間を流下する用水路。戸倉浄水場南付近。

田代頭首工用水路・戸倉の田んぼ
同地点より下流を望む。

田代頭首工用水路・戸倉の田んぼ
田んぼへ配水の様子。角落しで堰上げしています。

田代頭首工用水路・戸倉の終点
愛川町上水道戸倉第4水源池前を通り志田沢経由角田大橋上流付近で中津川へ合流します。中津川で取水され中津川へ戻っていく延長1.9kmほどの水の旅でした。

中津川の角田大橋
愛川町上水道戸倉第4水源池付近堤防上から見た角田大橋。角田大橋の下流に昨年夏に探訪した仙台下頭首工があります。さらに下流には坂本頭首工があります。田代頭首工は中津川左岸の最も上流に位置する農業用水取水施設です。

田代頭首工の概要
頭首工の名称:田代頭首工
施設概要:コンクリート造り水門4m×5m 2門手動巻上機付き
築造者:不明
築造年:大正13年
取水量:慣行水利権 0.818㎥/秒
沿革:江戸時代初期に始めた水路を開削し順次拡張。大正13年に頭首工・水門(コンクリート造り)を建設し田代・戸倉水利組合を設立。 
(愛川町役場提供資料より)

田代頭首工取水口の位置です。


其の219 半原系統・馬渡橋水管橋撤去工事その後

 平成26年11月に横須賀水道半原系統・馬渡橋水管橋撤去工事が行われ、その様子を「其の189」で投稿しました。あれからおよそ半年たちその後の様子を見てきましたので短く投稿いたします。探訪したのは5月8日(金)晴れの日です。

中津川・馬渡橋仮設橋
向かって右側にあった馬渡橋は撤去され、仮設橋がそのまま使われています。

中津川・旧馬渡橋橋台
仮設橋の人道橋から見た旧馬渡橋左岸橋台。

中津川・旧馬渡橋橋台
同右岸の橋台。

横須賀水道馬渡橋水管橋支持部
左岸側のレンガ造り馬渡橋水管橋支持部と切断された内径500mm導水管が残っています。

横須賀水道馬渡橋水管橋支持部
こちらは右岸側支持部です。レンガ造りの水管橋支持部と伸縮可とう管が残っています。

馬渡橋人道橋より中津川上流を望む
仮設の馬渡橋人道橋より中津川上流を望む。八十八夜から一週間、野にも山にも若葉が茂り・・・日本には四季があって良いですね~癒されます。

馬渡橋水管橋撤去工事と在りし日の馬渡橋水管橋の記事です。
「其の189 半原系統・馬渡橋水管橋撤去工事」
(2014/11投稿)
「其の186 半原系統・馬渡橋水管橋を訪ねる」
(2014/11投稿)

馬渡橋の位置です。


其の218 伊勢原浄水場を訪ねる・続編

 平成25年(2013)12月に伊勢原浄水場を訪ね「其の125 伊勢原浄水場を訪ねる」で探訪記を発表しました。ただその時は浄水場の外周道をひと回りした表から眺めた探訪記でした。
先月17日に開催の少人数の伊勢原浄水場見学会に参加し浄水施設の見学をしました。今回は表から眺めた浄水場に対して内から見た探訪記です。

伊勢原浄水場正門
伊勢原浄水場
神奈川県内広域水道企業団 伊勢原浄水場正門です。いつもは門が閉ざされ近寄りがたい雰囲気がありますが、今日は見学者のために開門されています。

伊勢原浄水場
会議室で浄水場の概要説明を受け見学開始です。これは前回撮った写真ですが右側手前の独立した建屋が伊勢原接合井です。(伊勢原浄水場平面図参照) 小田原の飯泉取水堰で取水し導水管・酒匂川導水路トンネルで送られてきた酒匂川の原水が海老名市社家の相模大堰で取水し内径1650mmの導水管で送られてきた相模川の原水とここで合流します。地下55mの螺旋階段を下りたところにあります。コンクリートで囲われているので合流の様子は見えないそうです。

伊勢原浄水場平面図
伊勢原浄水場平面図です。(当日配布資料より)

伊勢原浄水場・揚水ポンプ場
浄水場西側の揚水ポンプ場です。浄水場の南西角から北西角に抜ける酒匂川導水路トンネル上にあります。伊勢原接合井で合流した原水はここで着水井にポンプ揚水されます。地下55mの揚水ポンプ場見学を密かに期待したのですが残念ながら見学コース外でした。

伊勢原浄水場・ポンプ揚水場
地下の揚水ポンプ場の様子です。内径20m、深さは55mの円筒形。(伊勢原浄水場案内パンフより)

伊勢原浄水場・着水井
揚水ポンプ場と一体の着水井。毒物などが投げ込まれないよう安全対策上フタがしてあります。
着水井の水位はH.W.L117mで、当然のことながら場内で一番標高の高い位置にあり、順次自然流下で次の浄水工程へ進み最終的には神奈川県営水道、横須賀水道の給水地点まで自然流下で送られます。

伊勢原浄水場・混和池
着水井から原水渠を通りこの混和池に流れてきます。原水なので酒匂川、相模川で取水した川の水そのものです。酒匂川系は飯泉ポンプ場から約4時間、相模川系は社家ポンプ場から約2時間かけて到達するそうです。
ここで左右2方向に分れ、その先でさらに2方向に分れるので都合4ブロックに分かれます。維持管理のため1ブロックが休止しても他の3ブロックが稼働し浄水を作ることが出来ます。

伊勢原浄水場・混和池かき混ぜ機
混和池上の水色の機械は凝集剤(ポリ塩化アルミニューム)と原水をかき混ぜる機械。右側の配管は薬品を注入する装置。

伊勢原浄水場・フロック形成池
次の工程フロック形成池です。凝集剤の力で原水に交じっている砂や土が沈みやすくするためフロックと言うかたまりを作るところです。フロキュレータ―と言う羽根がぐるぐる回っています。

伊勢原浄水場・フロック形成池
東の端のフロック形成池が維持管理のため休止中でした。中の様子が良く観察できます。羽根は木製だそうです。隔壁の無数の穴から隣の池へ流れて行きます。

伊勢原浄水場・沈澱池
次の工程、沈澱池です。これも中の様子が分かる休止中の沈澱池の写真です。大きなフロックを沈める池で、速やかに沈殿させるため傾斜板式を採用しています。

傾斜式沈澱池モデル
傾斜板式沈澱池のモデルです。ピンク色粒子はフロックで、左側の傾斜板式の方が早いと一目瞭然で分かります。

伊勢原浄水場・沈澱池フロック掻き寄せ機
これも休止中の沈澱池です。底の方にフロック掻き寄せ機が見えます。掻き寄せたフロックは排水処理施設へ送られます。

伊勢原浄水場・沈澱池出口
沈澱池の出口です。きれいになった上澄みは樋の穴を越流し急速ろ過池へ流れて行きます。

伊勢原浄水場・急速ろ過池
最終工程の急速ろ過池です。沈澱池でも取り除くことが出来なかった小さなフロックを砂の層を通して取り除きます。きれいになった水に塩素を入れて消毒し調整池(出来上がった浄水を一旦ためておく池)へ流れて行きます。ろ過砂は目詰まりするので定期的に調整池の水で逆洗洗浄するそうです。

ろ過砂サンプル
急速ろ過池のろ過砂サンプル。結構厚みがあります。

以下の写真は場内の目立った施設です。
伊勢原浄水場・太陽電池
これは沈澱池上に設置の太陽電池です。CO2排出量削減対策の一環だそうです。日当たり抜群なので発電効率は高いと思います。

伊勢原浄水場・排気塔
これは排気塔です。調整池の芝生の上に立っています。排水処理場でフロックを水と土に分け最後は脱水します。上から出ているのは煙ではなく脱水した水蒸気です。伊勢原浄水場ならではの施設です。

伊勢原浄水場・給水塔
これも目立つ施設です。浄水場内自家用水道の給水塔です。

見学を終え質疑応答をし、一時間半の駆け足見学を終えました。お蔭さまで水道施設に直に接することが出来理解を深めることが出来ました。見学者一同来場記念「やまなみ五湖のブレンド水」や伊勢原浄水場パンフや説明資料を手に辞去。大変お世話になりありがとうございました。

表から見た伊勢原浄水場はこちらです。見学コース外で表からしか見えない施設にも触れています。
「其の125 伊勢原浄水場を訪ねる」 (2013/12投稿)
神奈川県営水道、横須賀水道の給水地点へ送る送水管(日向川水管橋)や調整池(2)、排水処理施設、「やまなみ五湖のブレンド水」についてなど。

伊勢原浄水場の位置です。




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