

小田急線新松田駅下車。今回も川音川に架かる文久橋を渡りました。欄干親柱に文久橋の名前の由来となった「文久永宝」のレリーフが刻まれています。神奈川県HP「かながわの橋100選」に「その昔船の渡り賃として文久銭1枚を取ったので」とその由来が書かれています。

5月10日に訪ねた鬼柳分水堰に再びやって来ました。左側2門が酒匂堰の起点です。終点は小田原市の万石橋でその延長は6,897mです。

流下する酒匂堰。下流を見る。流量は3.36㎥/秒です。ここは足柄上郡大井町金手。

分水の様子。転倒ゲートで水位を上げ分水しています。ゲート開閉機の銘板を見ると「KS式自動堰」とあり自動的に開閉しているようです。大井町金手。

酒匂堰を水路橋で渡る支線用水路。用水路と用水路の珍しい立体交差です。すぐ隣りで支線用水路から酒匂堰に放流しています。この用水路はどこから来たのでしょう。左側(北側)から来ています。おそらく金田堰(用水路)の支線が巡り巡ってここまで来た余水排水と思われます。あちこちで余水排水放流を見かけました。実に巧みに水を利用しています。足柄上郡大井町金子・井向橋付近。

その下流、今日初めての本格的な水門です。ゲートを下げ用水を堰き止めて分水しています。

ゲートの銘板です。
型式:ローラーゲート
寸法:幅3.5m×高さ1.75m
扉重量:2.00t
材質:SS400
制作年月:平成9年3月
製作者名:宇野重工株式会社

二つ目の水門です。日の坪堰といいます。銘板が貼ってありました。水門の上流側に水位計が設置してありました。ゲートの自動開閉を行っていると思われます。

型式、寸法は一番目と同じです。平成5年3月に神奈川県が造りました。吉原入口バス停付近。

その下流R255西側で和田堰が北(右側)から合流しています。和田堰は金田堰の終点です。これより上流1.1kmのところで金田堰が和田堰に合流しています。

その下流の三つ目の水門です。足柄上郡大井町上大井。

三島神社東付近を流下する酒匂堰。上流を望む。

小田原市の境界近くの二方堰です。四つ目の水門です。このタイプ(ローラーゲート型式)の分水堰を見たのはこれが最後です。銘板によると昭和63年3月に神奈川県が造りました。幅6.20m×高さ1.75m。

二方堰の下流で東から来た菊川が合流します。

その先、山王橋下流で見つけたゴム引布製起伏堰(ラバーダム)です。いや~嬉しいな~楽しいな~。いま酒匂堰を下流へたどっているところです。徐々に水位が上がるのに青色の水門がなかなか見えません。もしかしてと思ったらやはりゴム引布製起伏堰でした。水路歩き3年目で三つ目のラバーダムと対面です。まさか酒匂堰でお目にかかるとは・・・想定外です。初めてゴム引布製起伏堰(ラバーダム)を見つけたのは去年8月藤沢市の石川堰を探訪したときです。
「其の97 引地川の石川堰を訪ねる」 (2013/8投稿)
二つ目は嵐発電所を探訪したときに山北発電所頭首工(取水施設)でお目にかかりました。
「其の116 嵐発電所を訪ねる」 (2013/11投稿)
水路歩きをしていてもなかなか目にすることがない珍しい取水堰なのでよく覚えています。
写真奥のブロック作りの建物は操作室です。起伏堰に空気を圧入するポンプや水位計などの設備があると思われます。

その下流です。小田原球場前宮前橋まで下って来ました。宮前橋より酒匂堰上流を望む。水位が上がっています。支線用水路の余水排水を集めています。

水位が上がっているはずです。二つ目のゴム引布製起伏堰です。ここは小田原球場の西南のはずれです。左右両岸に分水しています。

小田原球場西南の起伏堰より下流を望む。

小田原球場西南操作室に掲げてあった水式ゴム引布製起伏堰銘板です。
河床幅:8.00m 堰高:1.70m 設置数:1門
竣工:1991年3月 豊国工業株式会社 (銘板より)

堰の傍らに立っていた酒匂堰湛水防除事業竣工記念碑です。平成5年3月神奈川県が建立。
碑の隣に酒匂川左岸土地改良区理事長名の「湛水防除事業の概要」が書かれていました。
酒匂川左岸地域は開発が進み農地が減少するにつれて、水田が持っている雨水の貯留機能が薄らぎ、降雨時には地域の排水が酒匂堰に集中する事態となった。しかし水路は、昭和27年から33年に改修されたもので、排水能力が不足しており、豪雨時には急激に増水し、各所で溢水氾濫し周辺の地域に大きな被害を及ぼしてきた。
県営事業として酒匂堰改修工事は昭和59年度から着手し、小田原市酒匂地先の小八幡堰から順次上流に向かって進め、大井町金子地先の和田堰流入地点に至る延長6.5kmの改修を行って、平成5年3月に完了した。総事業費20億余円。 (「湛水防除事業の概要」より抜粋)

その下流、千代中付近の田んぼの風景です。田植は終わっています。
驚いたことに千代中前にもゴム引布製起伏堰がありました。これで三つ目です。同じ光景なので写真は省略します。

千代橋下流の支線用水路。並行して流れています。左側の水路が千代中前で取り入れたばかりの用水で、右側はその一つ上流で取水した水路と思われます。左側の水路より高い位置を流れています。下流で合流します。

途中四つ目のゴム引布製起伏堰を見たあと小田原厚木道路直前、千代境橋まで下って来ました。いよいよ終点間近です。

小田原厚木道路を潜った先、五つ目のゴム引布製起伏堰です。こんなに見られるとは想定外です。酒匂堰はゴム引布製起伏堰の宝庫のようなところです。この2年間で二つしか見たことがなかったのに今日1日で五つも見てしまいました。

下流から見たゴム引布製起伏堰。風景にとけこんでいて日常通行する人は何も感じないでしょうね。

酒匂堰終点万石橋に着きました。神奈川県と酒匂川左岸土地改良区が管理する酒匂堰はここまでです。鬼柳分水堰からの延長は6,897mです。

万石橋より小八幡川下流を望む。万石橋より下流は小田原市が管理する準用河川小八幡川に名前が変わります。地図を見るとこれより下流は小田原市酒匂、小八幡を流れJR国府津駅西方の森戸川河口近くで森戸川に合流し最後は相模湾に注いでいます。

今回の探訪記念です。水路沿いに祀られていた馬頭観音像です。金田堰を歩いた時にもありました。昔からお馬さんは農耕馬として大切にされていたのでしょう。大井町金子湘光中付近にて。
足柄平野を南へ歩くとき、振り返ればいつも富士山を仰ぐことが出来ます。今日はご覧のような天候でそれもかなわず少々残念でした。私好みの伏越(ふせこし・サイフォン)は結局、川音川サイフォンだけでしたが、予想もしなかったゴム引布製起伏堰を五つも見られて大満足の探訪となりました。これで松田郵便局付近宮前橋以南の酒匂川左岸幹線用水路(酒匂堰、鬼柳堰、金田堰)の探訪は終わりです。
今回も水路の区間、延長、通水量など神奈川県県西地域県西総合センターご提供の資料を参考にいたしました。
今回のスタート地点鬼柳分水堰の位置です。
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